空の色が好きだ。もちろんそれは青空。
天気のいい日は元気になる。
それは遺伝子に組み込まれてるって、
お父さんがこの前教えてくれた。
お父さんは調子がいいから
イマイチ信用出来ないけど、
でも、青空の日には元気になるから
これに関しては信用してもいいかもな。
そうだ、あとこんなことも言っていた。
カラフルな色はビタミンカラーだから、
身につけてるだけで元気になれるって。
明日はオレンジのTシャツで学校に行こう。
あたしは元気。
あたしは、負けない。
人って善悪では語れないよね。
あの日、お母さんが言った言葉を今も時折思い出す。
良い人だって思ってたあの人は、
悪くないけど良くもなかった。
だけどわたしは傷ついて、
きっとあの人も傷つけた。
そんなことに20年もかけて気づくなんて。
お母さん、わたしは何を間違えたのかな。
僕は家族のルールを守ってきた。子どもとして。
遊園地に行ったら楽しそうにする。
サンタがいなくてもいる振りをする。
家族で食べる夕飯の時はいっぱい話をする。なのに。
ルールを破ったのは父さんと母さんだ。
いつまでも一緒って言ったのに。
三人でいる時間は楽しいって言ったのに。
気づいたら夕飯は二人になって、
三人の時間は父さんたちのケンカの時間になった。
僕は確信した。
ルールなんて守るもんじゃない。
守った方が負けなんだ。
なので僕は何も言わない。
どうせ大人は聞きやしない。
だから無駄なことは口にしない。
それが僕のルール。
毎朝、起きたら必ず窓を開ける。
今日の空模様を確かめるために。
それはサッカーを始めた頃からの習慣。
あたしはサッカーが好きだ。
だから毎日練習がしたい。
サッカーは練習すればする程上手くなる。
それは間違いない。
そう信じて今までやってきた。でも。
あの日、あたしは負けた。
フィジカルの強さはチーム一だと思ってたのに。
努力さえしてたら絶対男子に負けないと
そうに思っていたのに。
それでもあたしは、今日も空を見上げる。
見上げ続ける先に何が見えるのか。
それはあたしだけにしか分からないから。
ムショクノセカイ……
そう聞いて思いっきり無職のワードが浮かぶあたしは、
まごうことなき無職だ。
毎日行くところがあって、
毎日やることがあって、
そんな当たり前だと思ってたことが、
こんなにすごいことだとは思わなかった。
やることが何もない一日。
それが楽しめるのは、
やることがたくさんある時なんだと、
しみじみ思う月曜日の午後2時。