6/2/2024, 4:31:24 AM
梅雨
テレビのニュース番組。
『今日の最高気温は21℃!朝から雨が降るでしょう。』
「梅雨かしら。やーねぇ」母さんが言う。
「うん。じゃ、行ってくる。」
「行ってらっしゃい。瞬。」
ムシムシする…
だから、梅雨は嫌なんだよ。
「こんにちは。」
静かで、透き通った声だ。
その人は、ロングの髪、エメラルドグリーンの瞳をした、同い年くらいの少女だった。
「…あ、こんにちは。」
「キミ、梅雨は嫌い?」いきなりため口か…
「まぁ、はい…」「残念だなぁ。わ…」
そう言いかけたとき。
雨が、止んだ。
少女は、消えていた。
下校。
また雨が降った。そして、少女も。
「僕は、梅雨のとき、ま、雨の時しか活動出来ない、雨神。」
雨神…?
「キミ、瞬、って言うんでしょ。」
「一緒に遊んでよ。」
「まぁ、いいですけど…」
「敬語無し!」「は…うん。」
バシャァッ「うわっ…滅茶濡れた!」
「へっへーん!水を生成出来るのだ~!」
ただ水たまりからかけてるだけだろっ!
水を掛け合う。 笑う。
雨が、やんだ。
翌朝。
雨が降った。
「また雨が降ったね!」
「夏の雨はムシムシして嫌い。」
今だって、服は汗でベトベト。
「ははっ。私も、梅雨は嫌いだよ。」
「遊んでよ。」
雨が降るたび、雨神と遊んだ。
何回も。暑さなんか、関係ない。
楽しかった。
「ねぇ、謝りたいことが、あるの。」
「なんだよ。雨神。」
「私は、雨神じゃない…人。」
心臓が、大きく動いた…。
「私、皮膚が滅茶くちゃ弱くって!」
「太陽が出てると、外に行けないの。それに、病気でさ?今日、入院するんだ~!」
…。「なんで…そんなに元気に言うんだよ」
「…そうじゃなきゃ、泣きそうになるから」
「私の名前、教えてあげる。」
「霞。霞だよ。」
「好きだよ。じゃあね。」
梅雨が、好きになった日だった。