アパートのベランダから
秋風が優しく頬を撫でて、
都会にはなかなかいないコオロギの声が耳を癒す。
[私、以外と秋好きかも。]
と、貴方へ向けてはにかむ。
こんな平凡な幸せが続きますように。
女になりたい俺は雨が嫌いだ。
ジメジメしてるし、湿気で髪はうねるし。
冷たいし、服も濡れるし、嫌なことしかない
特に夏なんか最悪で、靴下が蒸れて
ずっと干しても乾かないし……
とにかく雨の日は何もしたくない、倦怠感に襲われる。
僕は、良く考えたら晴れも嫌いだ。
暑いし、湿気はすごいし
汗が出て、そこらじゅう暑くて堪らない。
自分は、もしかしたら雪も嫌いかもしれない。
冷たいし、素肌に少し触れるだけで凍傷になりそう。
雪だるまではしゃげた子供の頃に戻りたい。
私は、いい加減に何がしたいんだろう。
何だかよくわかんなくなっちゃった。
この曇りで、なんでもない今日に死ねたりしないかな。
今日は、すごく強い酸性雨。
体が熔けて、死んじゃうくらい。
なのに気持ち的にはすごく柔らかい雨だ。
男になりたいあたしは、酸性雨が好きだ。
からだがどろどろとけて、ぜんぶおわりだ。
アイドル見たいなあの子。
いつも明るくて眩しい子。
にこにこ笑顔の優しい子。
イルカの様に声が高い子。
いつも笑顔の不気味な子。
正しい反応を知ってる子。
いい子を演じてる賢い子。
あの日、あなたは哀愁を誘う瞳をしていた。
いつも強い当たりしてごめんね。
しらじらしいとか言ってごめんね。
手厳しい大人もいるだろうけど、
展示されてるルビーみたいに真っ赤な心を。
夜のアクアマリンみたいに輝く青を。
。。。紫色のオーラを放って、誰よりも光るあの子へ。
しゃっ しゅしゅ すっ さらさら……
眠りにつく前に 私は一作書いた。
この作品に題は無いが、敢えて言うならばこの作品は
天才、だろう。
それもそのはず。私は岐阜に住むしがない無名の漫画家
いつか日本一の大漫画家と呼ばれる日を夢に見てから
毎日、毎日まいにち……明けても暮れても、
寝ても覚めても、深夜も早朝も関係なく書いて
書いて書いて書いて書いて
私はこの手で[描き]続けた末の作品。
天才、幻、逸材、秀才……もう、自分を何と
表現していいか分からないくらいに……
それほどまでに私はこの作品の出来に酔いしれていた。
皆愛を求めてる。
誰だって愛されたいともがく。
でも今あるのは将来への漠然とした不安だけ。
それはきっと、誰においてもカタチの無いもの。
困りものだよな。