この世界は闇と光で満ちていて
人間はふたつに分けられた
ああ、この、腐った世界
終わる日が来るなら それまでは
曇りの中の太陽みたいに
ぼんやり照らして私のことを
ナイフで心臓突き刺して
世界の隅に花束を
ロザリオ掲げて待っていて
曖昧にただそこにいて
傘をさして見上げてて
羽を貴方にあげにいくから
お題 この世界は
「この蝋燭が消えるまでそばにいて」
彼女は消え入りそうな声でそう言った
バースデーケーキとマジパンは
ふたりじゃ少し多かったかな
蝋は溶けて 夜が明けて
彼女はふわりと微笑んだ
手を伸ばせばくずれてしまいそうで
砂のお城を思い出した
切ないラブストーリーはもうおなかいっぱい
白熱電球の下で幸せを願わせて
部屋に残ったのは
アーモンドの香りと白い宝石
お題 ずっとこのまま
真冬に飛び込んだプールサイド
寒さが身に染みて
自分が何処なのか 何なのかも
わからなくなってしまった
ホットミルクを飲んで落ち着こう
誰も急かしはしないから
足は今でも冷たいままで
血が流れていないみたい
眠っている
眠っている
目を開けたままで
ああ寒さよ、北国の寒さよ
私を故郷へ連れ戻して
海猫のなく声といっしょに
お題 寒さが身に染みて
テレビの中で華やかな歓声
大人になりきれなかった私には
まるで天国の迷路のようだった
華やかな振袖を着て海に行こう
あの頃の無邪気さを忘れないように
華やかなメイクをしてピアノを弾こう
もっともっと奥の世界へ行けるように
華やかな宝石をつけて蜜を吸おう
価値の高さを分けられるように
曖昧に ただ単純に
大人になった喜びと
大人なった葛藤を
そのまま砂浜に描いていって
これはとあるひとりの
「おとなこども」の物語
お題 20歳
朝月夜に貴方は何を思う?
縁側で風鈴の音
もう冬だというのに
見上げれば輝く三日月
私を拒んだ静電気
今夜はスコッチパイでも食べましょうか
窓の結露に指を添えて
描きましょう 2人だけの三日月
ドアの奥の貴方には
まだまだ遠い様だった
最後に残ったのは
萎んだ月下美人と 朝焼けに光る三日月
お題 三日月