大丈夫!
できるできる。
―――ほんとに?
これでも
自分なりに努力はしてるつもりなんだよ。
ほんとは
休みの日は
ずっと家でゴロゴロしたいし
はじめましての人と会うの
緊張するし
いいなぁと思っても
やりとり続けることに疲れるし
でもさ
この先ずっと独りでいる覚悟は
ないんだよね。
友達が結婚した。
先輩が妊娠した。
あぁ
また
心から
オメデトウ
が言えない
醜いわたし。
―――大丈夫!
できるできる。
ほんとだよ。
思ってたより時間はかかっちゃったけど
信じて続けてたら
ちゃんと出逢えたよ。
#あの頃の不安だった私へ
あ、やっぱり?
そうかなーと思った!
そういうお仕事してそうだなぁって。
捨てずに持っていったのね。
じゃあ
この仕事に帰ってくるかもね。
分かってる。
どうするか
決めるのは
わたしなの。
他人じゃないんだよ。
なのに
同じような求人を見て
必要なものは段ボールの中に入ってる。
あんな思いをして…
なんで?
呪いをかけてるのは
わたしなの?
#逃れられない呪縛
家具も家電もカーテンもない。
西陽がちょっと眩しい。
意外と広かったんだなぁ
この家。
ここ
知らないうちにキズになってて
ショックだったんだよね。
ここ
真夜中に虫が出てきて闘ったよね。
ここ
誰かに話しかけるみたいに
独りごとよく呟いてたよね。
いよいよ
サヨナラだ。
心地よくて
思ってたよりも
長く住んじゃった。
じゃあ
元気でね。
バイバイ。
―――はじめまして。
これからよろしく。
あの人との
ふたりのおうち。
#昨日へのさよなら、明日への出会い
水面に
景色が映る。
鏡みたいで
すごく
綺麗。
風が吹く。
景色が揺れる。
あ。
消えちゃう―――
残ったのは
いつもと同じ
青くて
濁った
川。
#透明な水
夢があった。
この仕事をしたい。
そのために
どういう進路がいいのか調べて
受験して
寝不足になりながら実習して
単位を揃えて
資格を取って
就活して
やっと
夢を叶えた。
なのに
同期と比べられて
失敗を責められて
陰口を言われて
挨拶さえ無視されて
仕事に行けなくなった。
ねぇ
あの時ずっと
目指し続けていた
【わたし】って
どんな【わたし】だっけ?
#理想のあなた