夢をみた
自分ではない誰かの日々の夢
その人は自分に自信を持てるような容姿、性格をしていた
周りには常に人がいて
順風満帆ってこんなことをいうんだろうなって人
"私"とは大違い
だけど、空っぽだった
その人には特別がなかった
特別仲がいい人も特別好きなものも
その人はそれで満足しているようだったから
空っぽではないのかもしれない
けれど…
"私"はそれじゃ嫌だった
ハッと目が覚める
いい夢だったとは決していえない夢だった
あたりは闇に包まれて
その中に灯る光が眩しくて
数年間ずっと憧れていながら
まだまだ子どもだからと遠ざけられていた
でも、それも昨日で終わり
今日からは私だって大人になるの
震えているのは緊張?恐怖?それとも歓喜?
今日くらいはしゃいだって許されるでしょ?
所作を間違えたって許してよ
だって今日は"…………"
どんどん沈んでいく
ゆらりゆらり揺れながら
ゆっくりゆっくりおちていく
おもい枷を抱えて
もう浮かんでこないように
いつかの難破船のように
全てが終わってから
全てなくなってから
誰かに見つけてもらえたなら
きっと救われるよね
あぁ、今日もか…
僕はいつもここにいるんだ
ここにはたくさんの車も人もくる
僕が現れると決まってみんな避けてくれるんだ
いるだけじゃそのまま通り過ぎていくのに
いつだってそう
僕のことを認識なんてしてくれない
君も昔は僕のことを見ていてくれたよね
だけど、最近は君まで僕を通過していく
でもね!
僕が現れると君もまた見てくれるようになるんだ!
だから、君がいる時はいつだって僕は姿を現すことにしてるんだ
なのに毎回僕らの邪魔が入っちゃう
うるさいサイレンも人々も
みんな集まってきて気づいた時には君はいない
追いかけられたらいいんだけど
あいにく僕はここから動けないから…
ほら!
そんなことを言ってたらまた君がきてくれた!
ね、僕を見て!
僕を見つけてよ!
あ、また
違う人に先に見つかっちゃった
僕は君に会うためにこうして現れているのに
―――――――――――――――
なんなんだ
ここでは不規則に事故が起こる
でも、僕が通る日は決まって事故が起きるんだ
不規則なはずの事故は僕が引き起こしてるんじゃないかって変に勘ぐってしまう
別に毎日通らなきゃいけないわけじゃないし
気味が悪いからしばらく控えてたんだけど
今日たまたまここを通ったら
また事故が起きた
いやだ、こんなのに付き合わされるのはもううんざりだ
彼から解放してくれ
何回目かの事故のとき
交差点に立った彼は僕を見つめて
恐ろしい程に綺麗な
恋をするかのような目を僕に向けていた
この日記には鍵がかかっている
そのありかは誰も知らない
この日記に鍵をかけた本人でさえ
開けることはできないかもしれない
日記には持ち主が諦めたいと、みにくいと
思った心が記されている
秘めた思い、見せたくない思い
そんな思いをのせた日記を胸にだいて
持ち主は今日も閉ざされた"心"を
その内を、その"日記"の存在さえも
隠すようにして笑うのだ