『ミッドナイト』
やっと夜だ
やっと真夜中だ
私の時間だ
私だけの時間だ
周りには誰もいない
ここには私しかいない
私が私でいられる時間
私が解放される時間
夜が好きなんじゃない
この時間が好きなんだ
昼が嫌いなんじゃない
あの時間が嫌いなんだ
また日が昇る
また恐怖する
私の自由は……深くて暗い時間だけ
『安心と不安』
人間だれでも最後は死ぬもんですよね
そしたら記憶はどうなるんでしょう?
経験は?感情は?心は?
自分が今感じている世界はどうなるんでしょう?
自分が亡くなればそれらも無くなるのでしょうか?
仮に……仮にですよ?
もし本当にそうなのだとしたら……最強ではないですか?
どうせ最後に全て無くなるのであれば、何をしたって変わりませんよね!
…………ダメ?
そうですか、ダメですか……
じゃあもういいです(不機嫌)
『逆光』
幸せだと思ってる人は勝手にそう思っているだけ
不幸だと思ってる人も勝手にそう思っているだけ
見方を変えれば幸せにも不幸にもなれる
自分から見て不幸な人に話しかけた
「あなたは不幸な人ですね」
その人が笑いながら応えた
「あなたには負けますけどね」
…………黙らっしゃい
『こんな夢を見た』
真夜中のショッピングモール。
既に消灯の時間は過ぎたのだろう、モール内は薄暗く、ガラス窓から射し込む月明かりだけが唯一の光源となっている。
そこに悲鳴が上がった。
場所はモールの二階、悲鳴と共に激しく走る足音が、一階へと続くエスカレーターに向かって近付いてくる。
悲鳴を上げながら走る人物……あれは自分だ。
その後ろからは何者かがナイフを持って自分を追いかけて来ていた。
自分はその何者かから逃げるため、電源が落とされ可動していないエスカレーターを一段抜かしで駆け下りていく。
そうして一階へと辿り着くと同時。
「誰だっ!」
という声と共に懐中電灯が此方へと向けられる。
夜間の警備員さんだ。
(助かった……!)
自分は警備員さんに縋り付くと、状況を説明しようとする。
ある人物に追われている事、その人物はナイフを持っていて自分を殺そうとしている事、その人物がもうじき此処に現れる事。
それらを必死に伝えている最中に……奴は現れた。
「ハァ〜、あんた足速いなぁ」
…………友近だ。
バラエティ番組で活躍している"あの"友近である。
お笑い芸人であり、ロバートの秋山とよくモノマネを披露している"あの"友近である。
……訳が分からない。
本当に訳が分からない……が、自分は友近に命を狙われていたのだ。
そもそも如何して真夜中のショッピングモールに、自分と友近がいるのかも分からない。
ともあれ自分は友近に対して恐怖心を持っているので、友近との間に警備員さんを挟み、じりじりと後退りをして距離をとる。
警備員さんにはある程度事情を説明したので、あとは友近を拘束してもらって終わりの筈だ。
その筈なのだが……何故か警備員さんと友近が談笑している。
自分は失念していたのだ、有名人である友近とどこの誰とも知らない自分では、その発言力に大きな差がある事を。
……流石バラエティの女王、口が上手い。
そのまま和やかに話をしていたかと思うと、警備員さんが此方に笑いながら振り向き、手をこまねく。
もちろん自分は行かないが……それを確認した警備員さんは友近に一言二言何かを話すと、こちらに向かって歩いて来た。
そして自分の前で止まると、自分に何かを話そうとした。
そう……話そうと"した"。
警備員さんが言葉を発する事は無かった。
何故なら警備員さんの口から出てきたのは言葉ではなく、それはそれは赤い鮮血だったのだから。
いつの間にか友近が警備員さんのすぐ後ろに立っていた。
その右手に待ったナイフで、警備員さんの首を突き刺して……真顔で此方を見ていたのだ。
ヒィッとか、ヒュッとか、とにかく言葉にもならない引きつった音が自分の口から漏れた。
友近が自分に近づく。
友近の真顔が自分に近づく。
右手に持った血だらけのナイフを此方に向けながら。
友近が……。
──
─────
───────ハッ!
ここで目が覚めました、起きてすぐは正直すっごく怖かったです。
後で思い返すと意味が分からなさすぎて笑えますね!
……ちなみに誤解なきように言っておくと、自分は友近さんの事好きですよ?
何時も楽しく観させていただいてます。
『タイムマシーン』
「うざい」
切り替わる
「気持ち悪い」
切り替わる
「あんたなんか」
場面が
「死ねばいいのに」
切り替わる
積み重なった過去の私が
恨めしそうに此方を睨む
怖くて恐くて
脇目も降らずにただ逃げる
……後ろから肩を掴まれた
何十何百と手が伸びてきて
身動きひとつ取れなくなった
そんな私に囁くのだ
そんな私が囁くのだ
"お前のせい"だと
"自業自得"だと
耳元で口々に……そう囁くのだ