観測者

Open App
2/23/2024, 12:52:35 PM

Love you

ある日、私は告白された。
校舎の裏側、ベタな言葉で。
私のことをそんなに想ってくれてるんだって、嬉しくなったことは覚えてる。
彼は私に尽くしてくれた。
その姿は、しっぽを振る健気なワンちゃんにも見えた。
一緒に手を繋いで歩いたり、傘を忘れた時には相合傘で家まで送ってもらったり。
フルーツティーのような青春が詰まった1年だった。
そんな思い出の数々を夕焼けのスクリーンに映しながら、寂れたブランコをキイキイとこぐ。
隣にはだあれもいない。
君はどこに行ってしまったのだろうか。

2/22/2024, 11:49:19 AM

太陽のような

推しって尊い。太陽のように眩しい。
眩しすぎて直視できない。
眩しすぎてたまに苦しい。
うっかり近くに来てしまうと何もできない。
推しを前にしてしっかり話せる人、尊敬する。
推しの輝きが毎日の活力になる。
推しにぽかぽかと照らされた日常が愛おしい。
電池切れになるまで、どうか私の世界を照らしてください。

2/21/2024, 11:23:54 AM

0からの

零さんのラジオは、聴いて2分で絶望を聞かせてくれる。
ただ、最後まで聴くことができれば不思議と心がスッキリとし、まっさらな気分になれる。
自分は何にでもなれるのだという希望を持てる。
もう一度、0から始めてみようか……なんて。
そんなこんなで聴き続けて何度目か、僕はこう思った。
「僕って、誰だっけ」

2/20/2024, 12:30:23 PM

同情

いじめられると同情される。
私を可哀想に思い、いろいろと良くしてくれる近所のおばさんは言った。

「ゆきちゃん、学校でいっつもいけずされて難儀やなぁ。でも心配あらへんで。おばちゃんがな、そんなことする子たちボコボコにやっつけたるからな」

私を家に招く度に同じ事を言う。確か今日で15回目くらい。
言葉で言うのは簡単だもんね。
殴る蹴るは日常。
私はクラスメイトのサンドバッグで、彼らのあらゆる不満は全て私に降りかかる。
ここ半年、クラスメイトに陽の感情を向けられたことは一度も無い。
時々あるグループワークでは、常に全ての役割を押しつけられる。
教師に告発したことは一度もない。
どうでもよかったから。
ただ、痛い時は思わず涙が出てくる。

2/20/2024, 2:03:06 AM

枯葉

枯れ葉掃除って、何をすればいいんだろう。
そもそも、どうなったら掃除したってことになるんだろう。
おじいちゃんに押しつけられたほうきを、適当に掃きながら考える。
とりあえず、1か所にまとめてみる。
すると、もう少しで終わる、となったところにいとこが飛び込んできた。努力の結晶が一瞬で無に帰ったものだから、思わず顔をしかめてしまった。
しかし、枯れ葉吹雪でキャッキャと遊んでいるいとこを眺めていると、なんだか毒気を抜かれてしまう。
こうしてる間にも、枯れ葉は庭を独占してしまおうとひらひら舞い踊ってる。
私は肩を竦めながらも、また性懲りもなく枯れ葉を掃きはじめた。

Next