わたしの心の羅針盤は
あのひとが逝った日に
壊れてしまった
今でもその針は
過去だけを指し示して
微動だにしない
このまま
立ち止まってはいられないことは
わかっているけれど
今夜も壊れた羅針盤に
誘われるかのように
満天の星空を見上げ
あのひとと過ごした
夏の日の想い出を
ひとつひとつ
辿ってしまう
# 心の羅針盤
「またね」と言えない
寂しさ
哀しさ
苦しさ
やりきれなさを
しっかりと
わたしの胸に刻みつけて
あのひとは
永遠に
姿を消した
# またね
8月
もうすぐお盆
一年ぶりに
君の霊が帰ってくる13日には
今年も
迎え火を焚こう
君が好きだったメロンや蕎麦や
煙草も用意して
昔話を沢山したいから
あの頃の写真を収めたアルバムも
もう本棚から取り出したよ
15日の送り火の時には
涙なんか見せないから
笑顔で見送るから
大丈夫だから
13日
君を待っているよ
# 8月、君に会いたい
あなたが逝ったあの日から
心の中に広がり続ける
寂しさの海
その飛沫を
たえず浴びながら
二度と逢えない
あなたを偲ぶ
昨日も今日も明日も
遺された想い出を
強く抱き締めて
あなたがいない
いまを
生きる
# 今を生きる
記憶
時間
会話
暗号
世界
約束
誓い
秘密
二人だけの
二人だけの。
# 二人だけの。