わたし達は
夫婦には
ならないままだった
いつかずっと先では
結婚することになるだろうと
漠然と思うことはあっても
切望することはなかった
あのひとの気持ちを
確かめたこともなかった
ただ 一度だけ
あのひとの葬儀の日に
親族として
家族として
身内として
配偶者として
あのひとを見送ることが
出来なかった時に
夫婦だったなら と
悔やまれて
悔やまれて
仕方がなかった…
# 夫婦 (328)
あなたが逝って
もう何年も経ったのに
あなたへの想いは
少しも褪せることなく
乾くことのない涙と
しんしんと降ってくる寂しさに
ただ蹲るだけの不甲斐なさ
何を見ても何を聞いても
あなたへと飛び立つこころは
止めようもなくて
こんなわたしの様子には
きっとあなたは
困惑してるはず…
ねえ
次の扉を開けるには
どうすればいいの?
# どうすればいいの ? (327)
あなたと
最後の別れをした日から
あなたは
思い出の中のひと
あなたの眼差し
あなたの言葉
癖や仕草
歌声 笑い声
ひとつひとつを
わたしの心は憶えている
あなたと過ごした日々の
穏やかで優しい記憶は
常に
わたしを満たし
潤し
癒やし続ける
あなたとの想い出は
あなたがわたしに
遺してくれた
唯一無二の
宝物
# 宝物 (326)
クリスマスシーズンの街は
まるで宝石箱
キャンドルの灯りのもと
作り笑顔を纏って
安っぽい愛を囁くのは
12月限定の恋人たち
こいびとよ
あなたはいま
どこで
なにをしているのでしょうか
クリスマスの夜だけは
たとえ
一日限定でも
あなたの微笑みを
もういちど
冷たく凍える
わたしの手に
届けて欲しい…
# キャンドル (325)
さようなら
現世で結んだ
赤い糸は解かずに
約束通りに
来世で
再び逢う日まで
# はなればなれ (324)