ジャングルジムに
登った記憶がない
どこから登り始めても良く
同時に何人も登れる
ジャングルジムが苦手だった
ところどころ剥げ落ちた塗装から
鉄錆びの焦げ茶色が
見えているのも嫌だった
休み時間や放課後
ジャングルジムの一番高い所には
必ず誰かが居て
とても威張っている様に思えて
近付きたくなかった
大人になった今では
ジャングルジムに登れるのは
子供時代だけなのに
それを放棄したことを
残念に思うし
ジャングルジムの
テッペンからの風景が
当時の私の瞳に
どのように写るのか
知りたい気もする
# ジャングルジム (286)
電話
それは
便利で
淋しいもの
それは
不便で
頼りないもの
そしてそれは
あなたと
わたしを結ぶ
細くて脆い
ひとすじの糸
声だけですか
逢えないのですか
# 声が聞こえる (285)
冴えわたる
月の明るさに誘われて
想いのしずくを
ぽつり ぽつりと
零す夜
あのひと宛のラブレター
出すこともないラブレター
書いては破りの繰り返し
秋の夜長は罪作り
片想いのせつなさが
涙とともに溢れだす
# 秋恋 (284)
何よりも
大事にしたいのは
かけがえのない
わたしの愛する人たち
慰め
励まし
時に叱咤しながら
守り
守られ
支え合い
互いに
気遣い思いやる
心と心
わたしが
わたしで
あるために
わたしが
わたしらしく
生きるために
決して失くしたくない
この絆
# 大事にしたい (283)
君の魂が
この世にあるうちに
わたしの
声が
手が
想いが
届くところにあるうちに
時間よ
止まってくれないか
君の命の灯火が
消えてしまう前に
どうしても伝えたいことが
残っているんだ
二人でやりたかったことも
一緒に行きたかった所も
まだ沢山あるから
そんな話もしたいのだ
お願いだから
お願いだから
時間よ 止まれ!
# 時間よ止まれ (182)