夜が明けようとしている
心の痛みは
何も変わらず
流した涙は
乾かないままに
朝の光は
夜を追いやり
容赦なく
あなたがいない現実と
わたしの孤独を
晒しだすけれど
朝一番の風が
わたしに
少しの覇気を与え
今日も
歩き出させる
# 夜明け前 (276)
彼岸花は
別名
相思華
花が散らなければ
その葉は姿を現さず
葉が消えると
花が咲く
花は葉を
葉は花を
想いながら
逢えない日々を
重ねていく
まるで
今のわたしのようです
あなたが逝って
わたしの想いは
増すばかり…
彼岸花の
鮮やかな赤い色が
とても哀しい
今年の秋です
# 本気の恋 (275)
カレンダーが
ただの数字の羅列になり
空白のまま
流れ続ける日々
あなたが
いなくなるということは
そういうことなのだと
いまになって気付く
新しいカレンダーを
欲する日は
訪れるだろうか
# カレンダー (274)
空が泣いている
降りしきる雨は
しっとりと
心を濡らし
あなたを
鮮やかに
思い出させる
逢いたくても
二度と逢えない
悲しみに
やりきれない想いは
いく粒もの涙になる
言葉になれずに
溢れる涙になる
# 喪失感 (273)
忘れない
忘れられない
忘れてしまうことなど
あるはずがない
あのひとと
ともに過ごした時間は
世界に一つだけの
かけがえのない
わたしの宝物なのだから
# 世界に一つだけ (272)