読み返せば
その日その時の
心模様を
鮮明に思い出す
誰にも言わない
喜怒哀楽
悩みや不安
すべてが
わたしの生きてきた証
残り数枚になった
この日記帳
書き終われば
いつものように破り捨て
新しい日記帳に
書き始めることだろう
わたしの人生の小さな旅は
また始まる
# 私の日記帳 (258)
もう一度だけでも
あなたと
向い合せになりたいと
願う心の
哀れさよ
粉雪
細雪
淡雪
牡丹雪
吹雪…
どれほど
月日が流れても
悲しみは
今日も
雪のように
降ってくる
# 向い合せ (257)
落ちる夕陽の
ひとすじの光さえ
指に絡める暇もなく
淋しい季節は
人の心など待たずに
巡って行くから
無情の風が
吹き散らした
あなたの
さまざまな想いを
拾い集めながら
今日も
深い溜め息と
涙のなかで
過ぎ去った日々と
向き合っている…
# やるせない気持ち(256)
裏返しにしても
何も書いていない
真白な紙を
一枚だけ
そんな手紙を
出してみたい
ー白紙に戻そうー
あの人は
読み取れるだろうか…
# さよならを言う前に (255)
# 裏返し
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あなたと眺めた
あの日の海は
今でも時々
心の奥で
波の音を立てて
優しく
時間を巻き戻す
# 海へ (254)
あなたを亡くして
ポキリと折れた翼にも
想い出は
しっかりと絡みつくから
軽やかに
飛び立つことなど
出来はしないけれど
せめて
少しでも空に近い
あなたに近い
木の上で
鳥のように
歌いたい
あなたのことを
忘れはしないと
歌いたい
# 鳥のように (253)