あなたと
サヨナラをした時は
わたしは一度だけ
雪になって
あなたのところへ
行くでしょう
あなたの髪に
あなたの肩に
あなたの手に
ふわりと舞い降りて
淡く儚く溶ける
雪の雫は
わたしの涙
名残の涙
# 空を見上げて心に浮かんだこと(217)
想い出を辿るのは
もう辞めたらどうですか
そろそろ終わりにしては…
夜の闇の中
聴こえてくる心の声
まだ無理 と
深い溜め息
ひとつ落として
土砂降りの
雨音の中に
消す
# 終わりにしよう (216)
取り合う手と
その温もりが
恋しい
逢いたい…
# 手を取り合って(215)
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君は君 我は我なり
されど 仲良き
武者小路実篤
君は君 我は我なりと
そう思えるようになったのは
大人になってからのことですが
それからは
優越感や劣等感で
心を煩わせることから
解放されました
# 優越感、劣等感 (214)
想いは
いつも同じ場所で
微動だにしないというのに
時の流れだけが
あざ笑うかのように
駆け抜けて行きます
色褪せることのない想いを
これからもきっと
変わらずに抱きしめて
過ごす事でしょう
時折の
悲鳴にも似た溜め息や
溢れ零れる涙が
今のわたしの
せめてもの
生きている証なのかもしれないと
思うこの頃です
✩生きている証 (212)
これまでずっと
抱えていた哀しみを
透明なグラスに
ぎゅっと搾れば
涙が
ぽたぽた ぽとぽと と
溢れるほどに注いだら
ゆらゆら映るお月様
グラスの涙を飲み干して
素早く姿を消しました
空に浮かぶ
今宵の月は
涙で滲んだ
朧月
# これまでずっと (211)