ここではないどこかに行けるならば
あなたの傍がいい
天国だろうと地獄だろうと
またあなたに会えるなら
# ここではないどこか (191)
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二人並んで腰掛けて
同じ時間 同じ景色を眺めても
背中合わせの 心と心
さびしさだけが とりまいて
話す言葉も とぎれがち
口先だけの話です
明日になれば
忘れてしまう会話です
作り笑いの虚ろさに
うろたえながらも
それでもやっぱり 笑い合い…
心の中に しみこんで
しみこんでゆくのは
そらぞらしさの むなしさばかり
さびしいなんて そんなこと
はじめから
分かっていたことでした
# 君と最後に会った日 (190)
待てど暮せど
来ぬ人を
宵待草の
やるせなさ
今宵は月も
出ぬそうな
詩 竹久夢二
繊細な花…
胸に浮かんだのは
この花
この詩でした
月の雫で染めたような
黄色の花は
一夜限りの儚い命
夕暮れを待って
密やかに
花開きます
心惹かれる宵待草
季節到来です
# 繊細な花 (189)
あのひとを亡くした
悲しみ
虚しさ
寂しさの大きさに
押し潰され
動けずにいるわたしに
問わないでくれませんか
明日のことも
明後日のことも
何ひとつ
考えられないでいるのです
ましてや
1年後のことなど
想像出来るはずも
ないのですから…
# 1年後 (188)
子供の頃は
イモムシもダンゴムシも
手のひらに乗せて遊んでいた
わけもなく
高い塀によじ登ったり
屋根にあがったりもした
雨が止んだあとは
泥んこ遊びに夢中だった
いまでは
空想の世界を
自由に翔びまわった
背中の羽根は
跡形もなく消え
虫は苦手で触れず
高所恐怖症だし
泥んこ遊びをする事もない
# 子供の頃は (187)
「おやすみ」と
たったひと言
君からの
深夜のLINE
それだけで
眠りは
安らかに
わたしに
訪れる
✩ それだけで (186)