約束は守るもの
守られるもの
そのはずなのに
人はなぜ約束を
簡単に破っていくのでしょう
指切りげんまんは
とても厳しい約束です
嘘をついたら針千本飲ますと
言うのです
そう言いながらも
針千本飲ますと言う約束も
また破られていくのです
守られない約束は
してはいけません
裏切ること
裏切られること
約束からうまれる
ひとつの罪と
ひとつの罰
哀しいから
約束はしないで
わたしも
指切りはしない
✩ 約束 (151)
午後の日差しは
アンニュイ
透明過ぎて
メランコリー
わたしの想い人は
心の垣を破って
いまにも
飛び立ってしまいそう
破れ垣を繕う手を
休めれば
向こう側に
サヨナラが透けて見える
病葉ひらひら
心の湖に舞い落ちて
不安の波紋は
いくつもいくつも
広がっていく
✩ 不安 (150)
透明な水のように
あなたを愛したい
不純物無しで
淀みなく
# 透明な水 (149)
あのひとへの想いを
ひとつ残らず
きれいに束ねて
小包にして
さよならの切手を
貼りました
あとは
想い出という窓口に
届けるだけ
わたしに
残された仕事は
もう
それだけ…
✢
あのひとへの想いを
小包にして
想い出の窓口に
持って行こうとしたけれど
一日目は
心が痛んで動けずに
二日目は
止まない涙雨が
邪魔をして
三日目は
空の青さが哀しくて
一日中ぼんやりと眺め
四日目は
入れ忘れていた想いに
気がついて
五日目は
前の日に解いた小包を
もう一度作るのが嫌になり
そのまま
時は流れ行き
あのひとへの想いは
いまも
わたしの胸のなか
✩小包 (147)
紫陽花が
色付き始めている
ハート形の葉の十薬も
祈るように咲いている
あと半月もすれば
雨の日々がやってくる
わたしは
カタツムリのように
殻に隠れて
雨音の中で
あなたの声だけを
探し続けることだろう
✩ 雨音の中で (146)