最初から決まってた
私が出来損ないだったこと
#最初から決まってた
物心ついた時のはじめの記憶は、病室で苦しむ自分。
誰かと共に幸せに過ごしているのではなく、
ひとりぼっちで、ただただ痛みに耐える日々。
退形成性星細胞腫という病気だそうだ。
そんな私の唯一の希望であり光であり太陽であるのは
優しい看護師さん。
毎日毎日、私のかわりに、外の風景を教えてくれるのだ。
「今日は晴れだね」 「お祭りしてるよ。」
心が温まる様だった。
…と、思いたかった。
今日は本当に苦しくて苦しくて苦しくて苦しくて苦しくて苦しくて。
あ、今日死ぬのかな。
そう思ってしまった。
もうどうせ駄目なんだ。
なら…死ぬ前に、一目風景を目にしたいと思い、
カーテンを思いきり開けた。
………しかし、そこにあった風景は…
ただの茶色いレンガが見えるだけだった。
私の太陽は嘘つきだったんだ。
…気遣いだったの、かな…
#太陽
君の目が覚めるまでにしておきたいことがある
まず窓を開けて
君の服を取り替えてあげる
それから
歯を磨かせて、
ご飯を食べさせる。
…何でか分からないけど、君、食べてくれないよね。
ごはん。
それから君をおぶって
お出かけする。
君はマイペースだから
歩いてくれないし何もしてくれないし…
世話が焼けるなあ。
全然目を覚まさないよね。
当たり前か。
本当はわかってるんだ。
君が起きない理由。
だって君のことは僕が……………
#目が覚めるまでに
あーあ…
今日の修学旅行、
雨で台無しじゃん。
…告白したかったな…
明日、もし晴れたら…告白…しよ。
#明日、もし晴れたら
誰かといるのは好きだ。楽しいし、関わり合う事が嬉しい。
でも 時に人を裏切れる人間と関わってしまう事がある。
誰かとご飯を食べるのは好きだ。美味しさが増す気がする。
でも 相手に合わせて好きなものが食べられなくなることがある。
誰かと遊ぶのは好きだ。1人で遊ぶより充実感がある。
でも 帰ってしまったとき、とてつもなく寂しさに襲われる。
裏切らないで。見捨てないで。1人にしないで。
こんな感情を持ってしまうから。
…君、まだこの文読んでるの?
いなくなってよ。見終わっても思い出してさえくれないんでしょ。
失うのが怖いから…
だから、1人でいたい。
#だから、1人でいたい。