物心ついた時のはじめの記憶は、病室で苦しむ自分。
誰かと共に幸せに過ごしているのではなく、
ひとりぼっちで、ただただ痛みに耐える日々。
退形成性星細胞腫という病気だそうだ。
そんな私の唯一の希望であり光であり太陽であるのは
優しい看護師さん。
毎日毎日、私のかわりに、外の風景を教えてくれるのだ。
「今日は晴れだね」 「お祭りしてるよ。」
心が温まる様だった。
…と、思いたかった。
今日は本当に苦しくて苦しくて苦しくて苦しくて苦しくて苦しくて。
あ、今日死ぬのかな。
そう思ってしまった。
もうどうせ駄目なんだ。
なら…死ぬ前に、一目風景を目にしたいと思い、
カーテンを思いきり開けた。
………しかし、そこにあった風景は…
ただの茶色いレンガが見えるだけだった。
私の太陽は嘘つきだったんだ。
…気遣いだったの、かな…
#太陽
8/6/2023, 10:44:14 AM