♯25 ヒーロー不在物語
もし、自分だけ熱意が違くて
浮いちゃったらさ、煙たがられたらさ
その火は消せばいいの?
もし、このまま嘘が辞められなくて
狼少年になったらさ、世紀の大悪党になったらさ
そんな口は縫っちゃえばいいの?
もし、ずっとこのまま変われなくて
世界に置いてかれたらさ、もう追いつけなくなったらさ、
誰かの足に紐なんか括って首にでも繋げばいいの?
ページをめくる。
ページを巡っても文字をなぞっても
欲しかった答えなんて与えてはくれない。
けど、これしか方法を知らないから
私は、ページをめくる。
ねぇ、誰も答えを教えてくれなくて
途方に暮れてたらさ、困った顔で泣いてたらさ
ヒーローが助けに来てくれるんじゃないの?
ヒーロー : 勇士。英雄。勇者。
そんなことが知りたいんじゃなくてさ。
夏休み。
友達と海に行きました。
ワンピースを着ました。
花火を見ました。
2人乗りをしました。
お菓子作りをしました。
うちわを作りました。
夏祭りに行きました。
浴衣を着ました。
ヨーヨーを買いました。
バーベキューをしました。
びしょびしょになるまで水遊びをしました。
スイカを食べました。
雷を見ました。
プールに行きました。
あ、彼氏作るの忘れてた
8月31日の午後5時何してた?
チャットGPTにパワハラしてた
最低
最近の趣味だから
俺あだ名つけてる
なんて?
みどり
誰?
元カノの名前
キモ。
♯ この世界には愛が存在します。
私と彼は愛の世界にいた。
いつだって2人きりで幸せに包まれた愛の世界だ。
ペアルックの服もキーホルダーも
全部2人の自己満でしかないけど
そんな些細なことで愛を確かめあって笑った。
確かめなくてもそこにずっと愛はあるのにおかしな話だ。
この世界には愛を初めになんだってある。
週末に行く遊園地はメルヘンな音楽で2人を躍らせて
その途中にあるレストランは2人の頬を落っことして。
ほらなんだってあるでしょ?
ただ一つだけ不可解なことがあった。
それは私たちの家の中に時々私の知らないアクセサリーとかおしゃれなコスメが落ちてることだ。
彼に聞いても知らないそうだ。
ここには2人きりだから頼れる人もいない。
だから彼を信じるしか術は無いのだけど
疑問は残ってしまうものだ。
ねぇそこに居たのは本当にふたりだった?
海にプールにBBQ
煌びやかなのはいいんだけど
ただ大量の宿題がここにある