4/30/2024, 3:01:34 PM
所々毛羽立った畳の上にごろりと打ち上げられたトドのように寝転がる。上を見上げればきつね色の木目の天井が広がっていて、所々人の目のように見えるそれが小さい頃は怖かった。
先祖の遺影が私を囲む。会ったことのない祖父。いい着物を着たお姉さん方。厳格な顔をした老父。どれもこれも私にとっては知らない人だが、妙にここが居心地いい。
疲れた時、私はここで寝転がる。冬の日は何だか暖かく感じ、夏の日はなんだか涼しいこの場所が、私の全てを許してくれるような気持ちがしている。
息をついて、目を瞑る。
「楽園」