6 風鈴の音

『チリン、、チリン』
風鈴の音は涼しい気持ちになれる
なんて聞いたことがある
でも、最近はあまり風鈴の音は聞こえない
聞こえてくるのは、エアコンの機械音や暑苦しい蝉の声
中学生でも滅多に風鈴の音を聞かない
想像の中とか、アニメとかでしか再生されない音
大人になったら、ほんとに記憶からも消えそうな
涼しく凛とした音

5 心だけ、逃避行

今日も自分の部屋に引きこもり
スマホの画面とにらめっこ
時には溺愛され、時には悪女に
最強になったり、天才になったり、重い重い過去を背負ったり
ネットには色んな作品がいっぱいある
主人公になりきって、セリフを読んでみたり？

「おーい、晩御飯できたよ〜」
、、、、、、
家族のその声が、言葉が、夢の世界からグッと現実に引き戻す
現実の自分との差
自分はただのモブなんやなって
まだ中学生、本当の逃避行なんて出来ひんから
誰かの手を借りないと生きていけへんから
自由なんてない、でも心だけなら
1人なら、心だけの逃避行

4 冒険

『人生は冒険である』
なんてよく言うよ
目の前に引かれた一本道
踏み外したやつから非難され嘲笑われていく
社会が必要としてるのは、なんの面白みもない仕事をきちんとやり問題を起こさない従順な下僕
冒険したものから、落ちていく
「個性が〜〜」とか「自分を信じて〜〜」とか
個性を出したりしたら燃えるだけ
学校も綺麗事を言って人を縛って、従順な社会の下僕の製造所
叩かれて、燃やされて、非難され、批判され、そんなデメリットしかない冒険に出るなんて
そんなこと出来るのは勇気がある奴か、超絶バカな奴
でも、冒険に出れない情けない僕より超絶バカな奴の方がよっぽどかっこいい

3 届いて､､､､､

『努力しなければ欲しい結果に手は届かない』
そんなこと言われても努力の仕方なんて分からへん
生憎少しばかり才能に恵まれた俺は努力なんてしなくても人並みに結果は出せるから
何やってもみんな
「才能あるよ」
「練習したらもっと上手くなる」
「センスいいね」
もう嫌だ
努力なんて知らないし、どうでもいいことのために努力なんてしたくない
続けなければいけない、結果を出さないといけない
プレッシャーをかけられて
凡人共からは
「才能あっていいな」
「天才とか勝ち組やん」
うるさい
結果を出せなかった時
1歩でも遅れれば転落
「天才も大したことないやん」
「天才よりできてるとか俺の方が天才じゃね？」
少しでも、たった1回ミスしただけで嘲笑われる
みんな過大評価しすぎやねん
少しでも失望されたら、そこで俺の負け
だから、お願い
届いて、欲しい結果に

2 あの日の景色

10時過ぎ、目を開けると天井が見える
やっとの思いでだるい身体を起こして行動を開始する
中学2年生、不登校
勉強もてにつかず洗濯、掃除や料理もやらない
手元にあるスマホで必ずしも必要ではないことを無心でする
ゲームしたり、動画を見たり、漫画見たり
幼い頃には想像できない
今、目の前に広がる景色

何もかも新鮮だった
好奇心がわいた
興味がそそられた
友達と遊んで、話して、泣いて、笑った
ちゃんと学校行って勉強して
休み時間は外で走り回り、雨だったら教室でお絵描きして
楽しかった
放課後、友達とサッカーしたり、友達の家でゲームする
遊び尽くして帰る夕方
綺麗な夕焼け
友達と見たあの日の景色
今の俺じゃ、見れない景色