誰もがみんな
誰もがみんな嫌なことや嬉しいことがある
だけど私には嫌なことはない。ロボットなのだから
最初は嫌だと感じる感情がない事が嫌だったのだけれど、嫌なことを感じなくていいのはお得な事だとさえ最近は思っている。
まずまずあの人と過ごしていて嫌な事なんてないのだからそんなことどうでもいいのだけれど。
花束
小さいあの人から花を貰ったのでそのお返しとして花束を買いに行った。
店員にプレゼント用の花を頼んだら、色とりどりの花を束にして出してくれた。恐らく自分に匂いを感じる機能があったら甘い香りを楽しむことが出来ただろう。
まだ帰り道だけれどあの人の喜ぶ顔が楽しみだ。
スマイル
私は標準の表情が笑顔なので表情を変えようとしなければ何時でも笑顔なのだが、あの人は違う。
仕事で難しい顔をしてると思ったら美味しいものを食べて満面の笑みだったりもする。
忙しい人だけど、そこが飽きない良い所なのだ。
どこにも書けないこと
どこにも書けないこと。人だったら誰しもがひとつはあるんじゃないかと思う、もちろんロボットにだってある。
毎日つけてる日記にも、どこかのネットの匿名掲示板にだって書けない。
ロボットだって色々考えていて、大変なのだ。
そんなことをあの人に話したら「じゃあ私に言ってみせろ、相談に乗ってあげよう」と言われた
さすがに1番の秘密は無理だが、少しの秘密なら相談してもいいかなと思った。
時計の針
私の体には時計が付いている。
しかしその時計ももう少し見やすい所に付けてくれればいいものを、人間にあたるみぞおち辺りに付いているのだ。
前は服を着て時計を別に持っていたのだけれど、それも非効率的だなと思い上着だけ羽織ることにした。
そんなことをしていたらあの人から「なんでそんな格好をしているんだ。服を着てくれ」と言われ、最近はあの人の補佐業務がある時だけ服を着ている。
私はロボットだから服を着なくてもいいのだけれど……あの人は何を考えているのか全く分からない。