（遠慮という名の愛）

テーブルにおかれた　とっておきのお菓子
お互い　手を伸ばせず　数分の間

相手のことを考える
このお菓子　好きかな　食べたいかな

どうぞ　気にせず　召し上がれ

お互いを思いやり　遠慮する心は
なんと　素敵なことだろう

（過去を照らす非情な炎）

私は閉じ込めたい
すべての失敗　すべての後悔

胸のなかには　鋭く非情な炎が
燃えている

その炎は　容赦なく
過去の記憶の扉を焼き尽くし
中を照らし出す
隠したはずの　最も痛ましい場面まで

私は　逃げてはならない
過去を　受け入れないと
前には　進めない

（出口のない迷宮）

私は　どちらに向かうか　考える
どの道を選んでも　入口に戻ってしまう

私は　外への世界の扉を探している

私は　今日も進む
いつか　抜け出せると信じたい

（まだ飛べない理由）

すっかり身も心も疲れはて
ぼくは　まだ飛べずにいる

傷ついてしまった羽根は
ぼくから　自由を奪った

傷は癒えたけど　飛ぶのが怖い
ぼくは　いつまでも　飛べないふりをしている

でも　勇気を出さなくちゃ
ぼくは　ひとりじゃない
みんなと一緒なら　飛べるかもしれない

寒い冬が来るまえに　暖かな　あの場所へ
ぼくは　みんなと　ゆきたい

（未開封の未来）

そっと置かれた　小さな箱には
鍵穴もなく　開けられない

何が入っているかは　分からない

開けなくていい
開けないままでいい

私は　この箱を　胸の中に
大切に　しまっておくことにした

その箱は　きっと
私の　未来の希望の箱だから