「卒業したら一緒に旅行行こうね。成人式も。…だから、……逝かないでね」
「……うん」
嬉しかった、まだ誰かに必要とされていたことが、でも…、
それ以上に苦しかった
耐えられなかった、この地獄に、…家でも学校でも私の居場所はなかったから
……結局ダメだった、約束破りだね
…こんな私のことを……必要としてくれて、
【ありがとう、ごめんね】
小さく背を丸めて、声を殺して、
体に降る痛みに、耐える
叫んだら、怒られるから
毎日毎日、耐えて、耐えて、耐えて
いつしか、…それが当たり前になった
手当ても、まともにできなくて、残った傷跡は見えたものじゃなくて
『……死にたい、だれか、たすけて』
言えたならどれほど楽だろう、
【部屋の片隅で】
逆さま、さかさまって、なに
何を基準にして逆さまって言うのか
分からない
……だって、何が正しいのか、わからないから
上下逆さま、これは上が、"正"しくて、それを基準としたときの反対を言うらしい。
でも、その"正しい"は人間が勝手に決めたものだから
わからない
【逆さま】
甘くて切なくて、いつか消えてしまう
もらった人は、とっても嬉しそうで暖かそうで……幸せそうで
失った人は、寂しそうで苦しそうで寒そうで……辛そうで…
いつか消えてしまうと、いつかなくなるものだと、分かっていても…
それが欲しかった、結局、与えられることはなかったけれど、
でも、これからも長い時間がある……その間に誰かから愛してもらえたらいいな。
【愛情】
ひたすらに暗闇が広がっていて
自分の手が、体が、どこにあるかも分からない
私1人しかいないこの空間が、寒くて怖くて一人なのが嫌に際立ってしまう、
そっか、私ひとりぼっちなんだな
おちてゆく
真っ暗な夢の中、足場も、何にもない
自分の手も、体も、見えないほどの暗闇に、呑み込まれ込まれてしまいそう
怖くて、寒くて、寂しくて、それでも
" たすけて "なんて言えない
【落ちていく】