吹き抜ける風が、頬から、手から、熱を奪ってゆく
かじかんだ手は、赤くなって
紅葉した紅葉が、美しい赤に染まっている
美しい景色とともに吹く風は、服の間を縫って体から体温を奪っていく
ふと、人肌が恋しくなる
誰かに抱きしめてほしい、何も言わなくていい、ただぎゅってしてほしい
今日だけで…
この、冷たい風が吹いている間だけでいいから
【秋風】
……バレた、もう、今までのようには、過ごせない
学校にも、家にも、もう戻れない
……帰れなくてもいいか、別に
家は、両親に殴られて蹴られて暴言吐かれて、学校も、いじめられるだけなんだから…、
帰れなくても、いい、……はずなのに
…結局私は甘ったれなんだな、こんなになってもみんなが、好きだなんて
……あーあ、なんでバレちゃったんだろう、"殺し屋"だって、バレなければ まだ…いや
…もう、捨ててしまおう、………殺してしまおう
さようなら、" 私 "
弱くて綺麗すぎたゆえに、裏切られてしまった私へ
【また会いましょう】
始まりは、些細なことだった
いじめられて、両親にも殴られて、蹴られて
この苦しみを、どうにか楽にしたくて
そうしたら
リスカした人が…気持ちが、すぅっと楽になるって、書いていたから
やってみようと思って、カッターを買った
手首は怖かったから、反対側を切った
切ったところから 赤が溢れて、赤い花が咲いた
すっきりするなんて書いてあったけど、私にはただただ 痛いだけだった
なのに 今も私はこの行為をやめられていない
ずっと中毒 みたいに、
【スリル】
美しい翼を持つ人は、美しく空を舞って自由に、永遠と続く青空を飛んでいる。
それを見て、憧れた、憧れてしまった
何の変哲もない翼を持つ者は、いくら努力しようとも、あのように美しく空を舞うことも、それどころか 空を飛ぶことすらできない
焦がれてやまない空は、美しいものしか歓迎していないようで
あれほど キラキラと輝いて見えた、憧れた景色は、いつしか 強い羨望へと変わっていた
今もなお、空には、美しい羽を持った者たちが、楽しげに舞っている
【飛べない翼】
大好きだったあの子との、思い出の場所
夕焼けに照らされて…それが目を見開くほどに…綺麗で
2人で、綺麗だねって笑い合った
いつの間に、こんなに…離れてしまったんだろう
…元から、私だけだったのかもしれない
大好きだなんて、思ってたのは
幾ら焦がれても、もう戻れない、過去の美しく温かい記憶は…
思い出せば思い出すほど、痛いほど悲しくて…、それでも…眩しすぎるほどに、
……綺麗だ
【ススキ】