オアシス
暑い外を歩いていると、とある店を見つけた。
なにか不思議な雰囲気を漂わせたそのお店に、私は吸い込まれた。
中に入ると、本がものすごく高くまで本棚に入っていた。本と、本棚の木の匂い、そして、心地よい冷房。
アンティークチックなそのお店には、説明書きがあった。
ここは、人によって中身が変わる店です。
独自の世界観を楽しんでください。
周りをみると、本以外にも様々なものがあった。
本、カメラ、ビーカー、黒板。
私の好きな物ばかりだった。
ああ、ここは、オアシス。
私はそう思った。
涙の跡
涙の跡を見せないようにしてきた。
泣いたと気付かれたら、申し訳なくなるから。
泣いてごめんねって、言いたくなるから。
ひとり、夜に泣いていた。
声を殺して、心を抑えて。
涙の跡はできなくなった。涙が流れないから。
それでも、見えないところに涙の跡があった。
「涙で赤らんだ君を、僕は見逃してない。」
泣いていない私を見て君は言った。
半袖
普段は長袖の君が、今日は珍しく半袖を着てきた。
真夏。川に行こうと誘ってくれた君は、川に足を突っ込んでバタバタさせながら
「川に来るって、普段しないでしょ?」
と言ってにっこりと笑った。
木陰の中で顔が綺麗に映っている君は、とても美しかった。
もしも過去へと行けるなら
もしも過去へ行けるなら私はどうすれば良かったんだろう。
あの時ああじゃなければ、今私を苦しめるものはないはずなのに。あの時なにも話さなければ、私は否定されなかったのかな。
過去へと行けるのなら、私は何をしていたのかな。今のいいことも、過去で何かしたら変わってしまうのだろうか。それなら、過去も怖い。
過去に行けるのは、御伽噺だけでよさそうだ。
True Love
真実の愛。
おとぎ話でよく聞くような言葉。
そんな言葉に憧れを抱く。
この言葉を聞く度に、私の中におとぎ話が流れる。
綺麗で、可愛らしくて、心が踊るようなお話。
現実にあるかは分からないけれど、私の心を躍らせてくれる言葉。
誰かに向かって言ってみたい。
これが、真実の愛だよってね。