もしも君が君でなくなってしまっても。
もしも君が愛してくれなくなっても。
もしも君が別の人を愛していても。
もしも君が、生きていなくても。
「別れましょう。」
彼女は言った。こうなることは薄々感じていた。
ここ最近、彼女からの愛を感じなくなっていた。
「一応聞いてもいい?どうして?」
「あなたに魅力が感じなくなったから。」
即答だった。そこまで嫌われていたとは、、少し悲しい。
「…そっか。わかった、別れよう。」
彼女はそれを聞き、振り返り帰ろうと歩き出した。
しかし、彼女は1歩踏み出した時突然倒れた。
私が、彼女の背中を刺したから。
どれだけ嫌われようとも。
愛されていなくとも。
私は一途に、永遠に、彼女を愛し続ける。
たとえ彼女が生きていなくとも。
心音。
不規則な呼吸。
意味の無い机に爪を立てる音。
抑揚の無い歌声。
外から聞こえる蛙の声。
笑っている家族の声。
全てが奇跡的に組み合わさった時、
心音も、呼吸も。音も、歌声も。声も。
全てが聞こえなくなる。一瞬、時が止まる。
再び動き出した時、
その時にしか聞くことの出来ない、
人生で二度と聞くことの出来ない、
何よりも美しい、
私だけの。君だけの。
メロディーがそこに生まれる。
私が愛している…
人間だと思う。確証は無いけどね。
好きな人もいるし、嫌いな人もいる。
考えていることなんて分からないし、
理解されたこともない。
どちらかといえば嫌われてるだろうし。
それでも、
人間の笑う顔、悲しむ顔、つまんなそうな顔、話している顔、
私はどれもを愛してると言える。
自分なんてどうでもいいのよ。
私なんて誰でもなくて、どうでもいいから、
愛している「人間」という生物が幸せならそれでいいの。
だから私は嫌われ役を買って、
私以外のみんなが幸せに暮らせればいいなって思う。
そんなふうに考えるのなら、無意識にでも、
私は人間を愛しているのかもしれない。
夕方、まっくろな雨に包まれた街を歩く。
かつては賑やかだったのだろうけど、すこし寂れて、
どんよりとした雲でいっそう暗く、暗く、、
2つある電球の片方が切れて、
ひとりぼっちで暗く、さみしく照らす街灯。
壁が黒ずみ、新しく建てた頃の色も忘れてしまった家。
遊具が錆びていたり、撤去されて少し広く感じる公園も、
背の高い草が生えて子供たちがいた影も薄れていた。
もう、暗くなる。
雨が強くなる前に、家に帰ろう。
あぁ、美しい。
あぁ、人間は、動物は、植物は、
山は、海は、星は、光は、
心は、愛は、夢は、希望は、
そのどれもが美しい。
平和も、争いも、、個も、集も、、
永遠ではないのが美しい。
その総てが全く同じではないのが美しい。
命はとても美しい。
時間は、さらに美しい。
そう。死は、最も美しい。