夕方、まっくろな雨に包まれた街を歩く。

かつては賑やかだったのだろうけど、すこし寂れて、
どんよりとした雲でいっそう暗く、暗く、、

2つある電球の片方が切れて、
ひとりぼっちで暗く、さみしく照らす街灯。

壁が黒ずみ、新しく建てた頃の色も忘れてしまった家。

遊具が錆びていたり、撤去されて少し広く感じる公園も、
背の高い草が生えて子供たちがいた影も薄れていた。


もう、暗くなる。
雨が強くなる前に、家に帰ろう。

あぁ、美しい。

あぁ、人間は、動物は、植物は、
山は、海は、星は、光は、
心は、愛は、夢は、希望は、
そのどれもが美しい。

平和も、争いも、、個も、集も、、
永遠ではないのが美しい。
その総てが全く同じではないのが美しい。

命はとても美しい。


時間は、さらに美しい。



そう。死は、最も美しい。

どうしてこの世界は「夢」があるんだろう。
人が抱く夢は全てが現実になることはない。
人が見る夢は全てが現実で起こることはない。
それは全てが理想であるから。
それでも抱く「絶対に叶わない夢」は、
なぜ生きる道となって人生を支えていくんだろう。
「絶対に一秒ずつ綴られる」未来はあっても、
「絶対に一秒ごとに進む」夢はない。
どうしてこの世界は
「夢」はあっても、
「絶対に来る未来」があっても、
「絶対に叶う夢」はないんだろう。