小学校、中学校、高校、大学と、「勉強すれば良い人生が待っている」と、当たり前の様に言っていた先生。確かに勉強すれば良い大学に入れて、社会的に地位の高い職業に付ける。望み通りの相手と結婚出来るかも知れない。そして、裕福な老後を送れる。ただ、それはアクシデントに全く遭わなかった場合だ。一流企業に勤めていても、働き過ぎで過労死するリスクがあるし、俳優や人気アイドルと結婚しても芸能人の伴侶が問題を起こして芸能界から追い出されるリスクもあるし、老後も病気を患うと寝たきりになり、早死する可能性だってある。多分、教科書通りに人生を送ったら、教科書に従わなかった者が自分より成功して幸せな人生を送っているケースに出会った場合、激しい憎しみを味わうだろう。残酷だろうが、このケースが当たり前なのが世の中なのだ。人生や社会は教科書通りには行かない。因みに、教科書通りに人生を送った場合、マジョリティーにはなれる。普通の人生は送れるだろう。
この世界のどこかには太陽に恵まれて花や果物や野菜が豊かに育つ国があるんだなと、トナカイは背の低い数少ない木々を見下ろしながら思った。暖かい土地にはみずみずしい食べ物が数多くあって、それらを山のように積んだ市場が存在する。セイウチやアザラシの肉ばかりとは大違いだ。そして、絵の具をバラ撒いたかのような色彩豊かな美しい花が一面に咲き誇る。モノトーンの寒い雪景色の世界とは大違いだ。トナカイは空飛ぶソリがあるのなら、サンタクロースを連れて世界中を周って美しい国々に行って見たい。そしたら、一面銀世界に憧れる人や動物に出会って色んな話が出来るのに…人間は、動物の言葉なんて分からないからサンタクロースにネゴシエーションをやってもらおう。そして、仲良くなってその国の伝統料理を食べたいってお願いしよう。そしたら、野菜や果物をふんだんに使った料理が食べられるかも!トナカイの夢は夜空に輝くオーロラの様に色彩豊かでした。