親の『今度、またね』は、次もない、ってコト
友達の『 またね 』は、次の約束はしない、解散のコト
親友の『 またね 』は、電話するね、ってコト
一緒に生きていきたい人との『 またね 』は
『また行こう!約束ね 』ってコト
〈 またね 〉
泡になれば あの空まで飛んで 行けるらしい
そして途中で割れると 中の魂だけが
その先へと 飛んで行く…
そっか、途中まで 道案内してくれるのね
それは助かります
綺麗な泡になって 貴方のいる世界へ
もう少し待っててね
〈 泡になりたい 〉
風鈴の音を聞きながら、縁側で静かに
椅子に揺られながら座っている。
背中に太陽の日差しを受けながら、日焼けした笑顔の
彼が ( ただいま…!) と玄関に立っている。
( お帰りなさい… ! おかえりなさい!)
彼に向かって走り寄る。。
チリ〜ン。。。
風鈴の音で、ふと気がつく。
あ… 何回目だろう、この夢…。
そろそろ夕ご飯の用意をと、台所へ行く。
ふと玄関の方から「 … … ぃま…」と声が聞こえた
ような気がした。誰か…来たのかしら? 行ってみる
が、誰もいない。
あ… 隙間風の音…?
台所に戻り、料理の続きを始める。
しばらくすると「 ただいま… 」不意に耳元で声が。
驚いて振り返るが、やはり誰もいない。
疲れのせい? 気のせい… ? 何となく少し寂しく
手を動かす。
本当は、気のせいなんかじゃ… ないのかも、、
出征して、何年目かの夏だった。
〈 ただいま、夏 〉
君と飲もう、そう思いラムネを買ってきた。
君はこれが好き。
先に木の下で待っていると、小さく手を振りながら
少し山のような草の小道を、走りながらやってくる。
「これ、はい。」ラムネを渡すと、わあっ!と笑って
くれた。
トンッ! ってビー玉を落とす。
ひと口飲んだ君に、僕は言わなければと。
「来たんだ、これが。」
君の手が止まる。表情が消えた。
いったいどれ程の沈黙があったのか。
「 数日で行くことになる…」
「そう… … そっか、、うん…、、」
俯く横顔が青白く見えた。
「うん、、行ってくる。。大丈夫、必ず帰ってくる」
握り締めたラムネの水滴が、君の指を濡らしていた。
その水滴を流すように、光る水滴。
僕は赤紙を握りしめた。
もうラムネは冷たくはなかった。
〈 ぬるい炭酸と無口な君 〉
最後に届いた手紙 誰が出したのだろう
名前なんて 覚えていない
上官だったのか 同期だったのか
文面なんて 信じない
必ず戻ってくる、そう言っていた…
だから 待っています、
この木の下で…
〈 波にさらわれた手紙 〉