1/25/2023, 12:24:36 PM
彼とは付き合っている。少し歳は離れているけど大好きな人。
「愛しているよ。大切だし、ずっと離したくない」
優しい愛の言葉を投げかけてくれる度に私の頬は甘く弛む。
幾度となく手を、唇を、身体を重ねてきた。
嗚呼、何て幸せなんだろう。
彼の左手には、嫌に眩しく光る銀色のリング
私達は付き合っている。ただ結ばれず、後ろ指を指され、世間から蔑まれても彼が好き。
僅かな時間の逢瀬。その時間はこんなに心穏やかなのに、彼と別れ自分の帰路を歩む時に、不意に涙が溢れそうになる。
この関係は波状の様にー
1/24/2023, 12:54:39 PM
雪が降り頻る中、彼女は僕に「1枚だけ撮ってよ」とスマートフォンを手渡す。
こんな寒いのに写真は撮るんだな、と感心したもんだ。カメラモードにし、レンズを彼女に向け、カシャッとシャッターを切りスマートフォンを彼女に返す。申し訳ないがカメラに興味は無いんだ。
「ねぇ、これ少しブレてるよ」
「1枚と言ったのは君だろ?」
「もうっ!いじわるっ」
分かってはいた。ブレたのも彼女がいじけるのも。いじけた姿が愛らしくつい意地悪をしたくなる。僕は彼女の少し膨れた白い頬をつついていた。
「あ、見て。雪が降ってるのに晴れてる。狐の嫁入りかな?」
「狐は雨天時だけだね。今の場合は『たぬきの嫁入り』と言うらしいよ」