夜の海は、誰もいないから
泳ぎ放題よ!
ザパァーン!
「……人魚」
・・・・・
チャポン
「あ、逃げた……」
人間いたァ!?!
明日ならいないはず……
ーーーーーー
ーーーーー
ーーーー
ーーー
ーー
ー
チラ
……またいる
自由に泳げないじゃない!!!
……そうだ!
……怖がらせればもう来ないんじゃない?
「?」
ザパァ!! 食べちまうぞー!!
「ふふ、可愛いですね」
(か、可愛い////?!?)
「私は別に君を捕まえようとか
思ってないから安心してください……」
…ほんと?
「あと、これ、やっと返せますね」
私の髪飾り……!
なくしたと思ってた!
あ、ありがとう……
「いえいえ、見つかってよかったですね…」
「では、これで……」
まって!?! がしっ!
「?!」
えっと、えっと、あ、貴方なら別にぃー
見られてもいいわよ//// モジモジ
(優しい人間もいるものね
べ、別にす、好きとかじゃないけど…ね)
「……っ////」
「本気になっちゃうじゃねぇか//(ボソッ)」
なにか言ったかしら……?
「いいえ?何も?」
「(ぜってーに、惚れさせる……)」
ピーンポーン
誰だろ?
ガチャ
「よっ!」
どうしたの?
「ほら、神社の祭り行くぞ」
あれ言わなかったけ?
私、門限あるから無理なんだ……
「そんなん、どうでもいいから早く行くぞ!!」
ちょっと!?
「ほら、自転車の後ろに乗れって!
花火間に合わねぇって!!」
わかったから!!手離して!//
「あ、すまん!//」
ーーーーー
ーーーー
ーーー
ーー
ー
「ちゃんと掴んどけよ」
うん
「じゃあ、行くぞ……」
………
ねぇ、どう責任とってくれるの?
「……それは、
俺が謝るよ……」
あそこまでして
なんで、私を呼ぶの?
「それは……どうしても
お前に言いたいことがあるから……」
「ああゆう場所でしか言えねぇことでよぉ……」
ふーん、そうなんだ……
……
貴方の自転車の後ろに乗って……
貴方の背中に耳を当てると聞こえる鼓動……
神社に近づくほど早くなる………
期待してもいいってこと……?////
「……ハグってさ」
「ストレスとか不安とか軽減して
心の健康にいいんだって……」
……ポタポタ……ぐすん……
「今の君にピッタリでしょ……」
「だからさ……」
「今は黙って、ハグされてた方がいいんじゃない?」
……ふふ
…………耳赤いよ……クスクス
「……」
「……もうハグおわり……」
……やだ……(ギュッ)
「……//」
もう少しこのままがいい……
「……好きにすれば//」
「……………」(ギュッ)
市民の反乱、
城が燃えている、
燃え盛っている……
♪ーーーー
なのに、中で聞こえる
貴方が奏でる音楽
強く美しく
でもどこか儚くて
繊細で……
今この場に不似合いな綺麗な音……
……
お嬢様、お逃げになってください……
「ここを出たら
もう、ピアノが弾けないじゃない……」
「貴方こそ逃げなさい、
私に構う必要はないわ……
貴方ならきっと、大丈夫よ……」
………………
そう、おっしゃられるのなら……
わたくしも
最後までお嬢様のピアノを
お聞きしたいです……
「ふふ、貴方は私のピアノがほんとに好きなのね」
……ええ、とても大好きですよ…
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♪ーーーーー
燃え尽きるまで聞こえる
貴方の音楽……
また、たくさん
聞かせてくださいね……
麦わら帽子が飛んだ。、
高く高く……
ただ見つめることしか
できなかった……
あの夏の日、
日差しが強かった日、
…………………………
……………………
………………
…………
……
…
交通事故で彼女は亡くなった……
この麦わら帽子は
どうすればいいだろう……
……
「あいつ、取りに来るかな……」
……