9/13/2024, 12:03:32 PM
「いま、会える?」
それはなかなか寝付けない夜のこと。
その電話越しの声が、ひどく震えていて消えていきそうだったのを覚えている。
「会えないわけ、ないよ」
恋人からの電話に、体をベッドから起こした、三時半のこと。
電話は切らないまま、着替えて両親がちゃんと寝ていることを確認して。
僕は夜に、貴方が待っている夜に、逃げた。
夜が明ける前に、貴方との関係がバレてしまう前に、貴方に会いに行く。
─夜明け前─ #63
9/12/2024, 2:15:16 PM
きっとどうせすべてなくなる。
そのとき落ちていた恋でも、
そのとき本気だった恋だとしても、
それが永遠なわけないし、いつか終わりがくる。
なんでもそうなのだろう。
いつかは消えてなくなるものに縋って、一喜一憂するのはなんて無駄なことなんだろうと思う。
強制的に始めさせられて、強制的に終わらせられる人生。
そんなもの、ちゃんと生きようと思えるわけがない。
でも、おわりがなかったらもっと生きようと思えないのかもしれない。
人の生ってなんのためにあるのだろう。
そうやって人生に諦めを感じているからかもしれない。
私が本気の恋をできないのは。
─本気の恋─ #62
9/11/2024, 12:27:57 PM
カレンダーをちらりと視界に捉える。
きっとそれは死への道のりが記されたもの。
ぱらぱらとカレンダーのページをめくる。
…ああ、今年だけでまだこんなに生きなくてはいけないのか。
─カレンダー #61
9/10/2024, 11:55:04 AM
求めてしまうのは、その温かさを知ってしまっているから。
そんなもの、最初からなければなにも感じなかったのに。
ああ、もう。
─喪失感─ #60
9/9/2024, 12:38:54 PM
貴方には、世界一が何人いるのだろう。
貴方は言う。
きみが世界一好きだよ、と。
でも、私は知っている。
それを言う相手ははたくさんいるということを。
ああ、貴方の世界にひとつだけの存在になれたらな、なんて。
─世界に一つだけ─ #59