踊れ。踊れ。
最後の日まで好きなように踊りなさい。
可憐に踊るように人生を駆け抜けなさい。
その言葉がいつも怖かった。
じゃあこんな好きなように生きれてない人生って失敗作なのか、って。
果てしない。
海から海水を汲んでも、それは美しい青ではない。
空だってそうだ。
空の一部を切り取っても、そこが青を発色するわけではない。
海は、空は、果てしないからこそ、気が遠くなるほど広いからこそ美しい。
海や空のように、人生だって、そうだ。
一部だけに視点を置くと、何も美しくない。
遠い目で人生、というくくりで見るからこそ美しいのだ。
今が、過去が、未来が、ぱっとしないものでも。
人生って生き抜いたってだけで意味があるから。
今日も、生きれて偉いよって。
別に無理して踊るように人生を駆け抜けなくったっていいんだよって。
─踊るように─ #57
時を告げた、朧月。
僕はもう、ここにはいられない。
最初から約束されていた。
僕だって最初から分かっていた。
それでも縋ってしまった。
時を急かす、朧月。
まだ貴方のとなりにいたい。
叶わない願いは七夕に。
あの日吊るした願い事は燃やされてしまったかな。
この想いもあのときに消えていたらな。
時を告げる、朧月。
ずっと、ずっと、貴方のことが、────…
─時を告げる─ #56
頬を撫でた、潮風。
連れてくるのは、あの日の記憶だ。
きみの無邪気な笑顔に誘われて、初めて海に触れたあの日。
忘れてない。
俺が見つけた綺麗な貝殻を、きみは割れないように慎重に持っていたっけ。
割れないように加工して、ネックレスにして手渡したときの、きらきらした表情が今でも胸を締め付ける。
一生大事にする、って。
ありがとう、って。
その細くて、壊れちゃいそうな首に通して、泣きながら笑ったんだ。
でもそのネックレスは今、俺の首にかかっている。
今年も一緒に海来ようね、って言っただろ。
僕の分まで生きて、じゃないだろ。
忘れていいよ、じゃないんだってば。
海から来る冷たい潮風は、頬の涙を拐っていった。
─貝殻─ #55
全ての人に受け入れられるなんて不可能。
全ての人に好かれるなんてあり得ない。
ひかりがあるところには、影が必ず落ちる。
だれだって、光れるよ。
きらめきになろうと思えばだれだってできるよ。
できるよ、できるけど、それぞれ好みの違う人間なんだから評価はまばらだってこと。
受け入れてくれる光があったら、拒絶する影もあるってこと。
それをこころのどこかに入れて生きていこうと思う。
私は、この言葉に救われている。
─きらめき─ #54
些細なことでも消極的に捉えてしまう自分がきらいだった。
でもきみと出会ったあの瞬間から、
どんな些細なことでも幸せを感じられるようになった。
自分をを少しでも好きになれたんだ。
そうやって私を変えてくれたきみにこの想いは伝わることはないけれど。
きみが好き。
─些細なことでも─ #53