27(ツナ)

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12/16/2025, 11:03:29 AM

君が見た夢

ある日突然、君は僕に話しかけるようになった。
僕は影が薄くて友達もいないような人間で、君とはなんの接点もなかったのに。
ある日「どうして僕に話しかけてくれるの?」と聞くと君は、
「夢で見たの。」と一言だけ言った。
「どんな夢?」と聞いても君は教えてくれなかった。

それから時は経って、僕も君も大人になった。
僕と君の左手には同じ指輪が光っている。
また君に聞いてみた。
「学生の頃、僕に話しかけるきっかけになった夢は結局、どんな夢だったの?」
君は少し考えてから口を開いた。
「実は言ってなかったんだけど、私、小さい頃から予知夢を見るの。今まで見た夢は必ず現実になっていた。あの時、見たのは私があなたのお嫁さんになる夢。」
そう言って笑うと、君は僕の手をぎゅっと握った。

12/15/2025, 10:52:47 AM

明日への光

学校の帰り道。友達と肩を並べて歩いていた。
「あれ見てみ。あれ、なんて言うと思う?」
友達は夕日に向かって指をさしていた。
「は?夕日ぐらいわかるわ。どんだけバカにすんだよ。」
バカバカしい質問に半笑いで応え、友達のことをげしげしと軽く蹴り苛立ちをぶつけた。
「ぶっぶ〜。」
「は?」
「正解は…明日への光。」
そう言ったドヤ顔がヤケに鼻についてまた足蹴にした。

それから何年も経った今、夕日を思い出すとふとその時のことを思い出す。
「明日への光。」 イマイチ意味はよくわからなかったけれど、良い言葉だなと夕日を見ながら微笑んだ。

12/14/2025, 11:00:08 AM

星になる

友達と真冬の天体観測に行った。
仕事で嫌なことがあって気分が沈んでいた時、ちょうど「星、見に行こうよ」と連絡があった。

駐車場から少し歩いた高台に登って空を見上げると、2人とも言葉を失うほどの満天の星空が輝いていた。
「……。あぁ…なんか星になりたいな。あんな────。」
話し終える前に、突然友達に後ろからぎゅっと力強く抱きしめられた。
「!?」
「だめ!私を置いて行かないで。」
友達は半泣きでそう言う。
腕の力から本気なのが伝わったけれど、私は意味がわからなかった。

「え、えっと、どした!?置いてかないよ。てか、あんたの車で来たんだから。」
「違う!今、星になりたいなんて言うから…。」
「え?」
「星になるって、天国に行くって事でしょ?死んじゃ嫌だぁ…。」
あ、そういう事か。
普段から天然だけど、今日はその天然に救われた。
変な勘違いでおかしな事になったけど、抱きしめられてなんだかモヤモヤしていた気分が晴れた。

12/13/2025, 12:03:09 PM

遠い鐘の音

シャン、シャン、シャン、シャン───
一定の感覚で錫杖を鳴らす音が聞こえる。
昼間ならともかく、深夜にどこからか聞こえてくる。
こんな夜中に迷惑だなと思いながら目を閉じる。
次の日、そのまた次の日も同じ錫杖の鐘の音が聞こえてくる、遠かった音が日に日に近づいているようにも感じる。
「なぁ、最近どっかの寺の坊さんが夜中にシャンシャン煩くて眠れないんだ、お前はどうだ?」
別室で寝ている女房に聞いてみたが、
「……。」
何故か虚空を見つめて黙ったままだった。

疲れているのかと思い、今日はいつもより早めに床に就く。
深夜になるとまたシャンシャンと音がした。ああもううんざりだ、一言言ってやろうそう言って外に出ると、あろうことか私の家の庭に托鉢僧が立っていた。
驚きよりも怒りが混み上がり僧侶の胸ぐらを掴むと、錫杖をダンッと力強く突いて経を読み始めた。

その途端、俺の身体中が燃えるように痛みだす。
あまりの痛みに声すら出せなかった。
助けを求めようと家の方を見ると玄関から女房が出てきた。
「…毎晩、ご苦労さまです。主人もこれできっと成仏できますよね?」
成仏?なんだ、誰の話だ?
お経を止めて僧侶が話し出す。
「死後、ご主人の魂に悪霊が憑いたせいでこの家、土地に縛られ、もう少しで貴女に危害を加える寸前でした。今日で完全に悪霊から切り離してご主人の魂を成仏させます。」

…あぁ、そうか俺は

12/12/2025, 10:31:21 AM

スノー

子供の頃はいつもの景色が真っ白に染まった光景に胸踊らせた。
いつしか、それは疎ましい存在になった。
寒い、雪かきめんどくさい、車の雪おろししなきゃ。
大人になっていく度に、鬱陶しくなっていく。
昔はあんなに好きだったのに、今では嫌いになってしまった。
また、いつか好きになる日が来るかな?
今年も変わらず雪は降り注ぐ。

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