27(ツナ)

Open App
10/27/2025, 11:21:11 AM

消えない焔

部活にやる気なんか無かったし、3年間適当にやってればいいと思っていた。
俺は生まれつき運動神経はあって、やればある程度なんでもできる器用なタイプだった。
中学で友達に誘われて適当に入ったのが水泳だった。
何となく楽そうだと思っていたが、入ってみると、泳ぐより基礎体力作りみたいなものばかりで走り込みに筋トレと意外とキツくて完全にやる気を失っていた。

そんな時に、転校生がきた。
そいつは水泳のそこそこすごい選手らしく、転校早々、水泳部に入部してきた。
俺含め友達もみんな適当にやってた奴らばかりだったから、そいつの泳ぎを初めて見た時、全員が言葉を失った。
見惚れる程に綺麗な泳ぎだった、そして俺の心の中に何かが灯ったように感じた。
水泳は別に好きじゃない。けど、転校生に負けたくない。
その時、消えていたはずのやる気の焔がメラメラと立ち上ってきた。

10/26/2025, 10:47:57 AM

終わらない問い

『テセウスの船』、『トロッコ問題』、『スワンプマン』、この世には様々な哲学の問いがある。
正しい答えの出ない永遠の問題。
これを単に不毛だと捉えるか、思考の楽しさを味わうか、人それぞれ変わるところも哲学の面白さだ。

たまには時間の余裕を持って、答えの出ない終わらない問いに考えを巡らせるのも良いものだ。

10/25/2025, 11:10:35 AM

揺れる羽根

最近は悪天候続きだったが、久々の晴れ間が訪れたので公園に散歩へ行くことにした。
河川敷を気の向くままに歩く。

青空を眺めて深呼吸をしていると突然、河川の対岸の方から『バサバサバサッ』と、とても大きな鳥の羽音が聴こえて思わず顔を向けた。
大きくて真っ白い鳥だった。
頭上を飛んで森林の方へ消えていったが、その瞬間、下から見えたその翼は光の反射なのか虹色に輝いているように見えた。

その鳥が去った時、1枚の羽根がヒラヒラと川に落ちた。
その羽は、川の流れに揺られながらキラキラと虹色に輝いていた。
あの鳥は一体。

10/24/2025, 10:59:06 AM

秘密の箱

私が生まれたのは平成の初期の頃、昭和時代の名残が色濃く残っている子供時代であった。
小学生になると、ナンタラ防衛団だのナンタラ宇宙軍だの仲間を募って、秘密基地を作ってしょっちゅう悪さして遊んでいた。

その秘密基地に、アレはいつの間にかあった。
丸印の中に"秘"と書かれた小さな箱。
こんな箱のことは、みんな全く知らなかった。
秘密基地を建てた時、辺りは雑草や石だらけでこんな箱があれば目立つし、きっと自分達の基地に勝手に入ってイタズラした輩がいるんだと躍起になって犯人を探した。
が、結局誰が何のためにこの箱を忍ばせたのか分からずじまいだった。

肝心の箱の中身は見ることはなかった。
スチール缶の箱で、蓋の部分が赤黒く錆び付いて小学生の力ではビクともしなかった。
ただ、その箱はかなり中に量が入っているのか鉛のように重かった。
そして、揺らす度に『ちゃぷんちゃぷん』と何か液体が入っている様な音がしていた。


10/23/2025, 10:28:44 AM

無人島に行くならば

「もしも無人島にひとつだけ物を持って行けるとしたら何を持っていく?」なんて問答を子供の頃はよくしていた。
大人になると捻くれて、なんで無人島に行く前提なんだ?とか、なんで無人島なんかに行くのにひとつしか物を持っていけないんだ?とか、そもそも無人島なんか好んでいかないけどな?とか雑念だらけだ。

そして今、俺はその無人島にいる。
経緯は省くとして、単純に事故だ。釣りをしてたら遭難からの漂着。現実に無人島に漂着することがあるんだなと関心してしまっている始末だ。

そして俺は今、身一つ、手ぶらだ。
今思うことは無人島に行くなら行き帰り用の船、テント、キャプ道具一式、非常食、水、防寒具、救急セット、火、ナイフは最低限必要だということ。


Next