私は自分の想いをひた隠しにするしか無かった。
恋する君があんまりにも照れくさそうに笑うから。
恋人ができた君があんまりにも可愛く笑うから。
結婚する君が、あんまりにも幸せそうに笑うから────
私の想いは邪魔なもの。君にとっては予想外で複雑なもの。だから私は伝えないし報われない。
お幸せにね。
ハッピーエンドと言うのは主人公が幸せになりさえすれば良いらしい。私の人生の主役は無論私。ヒロイン役はあの子に決めた。
さぁ、スタンディング・オベーションの準備を。
ヒロインと主人公が結ばれるならば幸せに決まっているでしょう?私はハッピーエンドの為ならばどんな犠牲でも払うわ。……例えそれがヒロインの気持ちになろうとね。
わたくしのお慕いしている方。涼し気な目元に、意思の強い瞳。
遠巻きからひと目見ただけで恋に落ちてしまいました。
わたくしはこんなにも見つめているのにつれないお方。その瞳にわたくしを映しては下さらないの。
貴女を手に入れてしまいたいだなんて言ったら野卑な女だと思われてしまうかしら。それでもわたくし、辛抱強くありませんの。だから……
今思えばわたくしはどうしてあんなにも悩んでいたのかしら。簡単なことでしたわ。隣にいる貴女は少し冷たいけれど……今やわたくしに独り占めさせて下さいます。けれどずっと見つめられていると照れてしまうだなんてわたくしは我儘ね。
何でこんなに胸の奥が痛むんだろう。たった一言、君が「私たちは親友」だって言っただけなのに。その通りだ。私たちは親友。私が君を友人として以外に好きな訳、無いのに……。好きになっちゃいけない筈、なのに……
***
「私たちは親友」そう言った時に貴女の顔に影が差した気がした。そんな筈ない。証拠にその影はすぐ取り払われて、私の大好きな笑顔で「当たり前じゃん!」と返ってきた。そんな勘違いをしたくなる位に、私は貴女を好きになってしまったのだなぁ……。