誕生日に食べたコロッケが美味しかったから、コロッケを作る人になりたいと思っていた。調べたらコロッケ専門店もあるらしい。まぁ最悪スーパーに並ぶコロッケでも構わない。ポテトサラダ専門店は無いみたいだから、誕生日に食べたのがコロッケでよかったかもしれない。
部室で携帯を充電していたから、スマホのバッテリーの話になった。設定開いてバッテリーのところを押して〜みたいな感じで、あたしがスマホを手に持ってて、それを彼が操作してくれた。それだけでも距離近くて息止まるかと思ったのに、あたしがどのアプリにバッテリー使われてるのか一覧を見られて恥ずかしい。「あ〜ピクミンが重いのかもね〜」じゃないから!!あっぶない!
「心配事の94%は起こらないらしいよ、何をそんなにそわそわしてんだか」
「……あたしさ、奇跡を信じちゃうんだよね。電車が遅れてて丁度乗れたとか、傘忘れたけど雨が降らなかったとか、そういう小さな幸運、それが起きることを信じてる。自認、晴れ女だしね。だから、確率は私にとって関係ないんだ。」
由佳子には、こいつが何を言ってるのかわからなかった。文系の奴らは本当にどうでもいいことを考える。祈ったところで確率が覆されるわけじゃない。
「運命は決まっちゃってると思う?」
「まぁね、そうじゃない?」
「それは大人だね、つまらないな〜」
由佳子はムッとした。こんなことに時間を割いてる方がつまらないんだ。その時間であたしらなら世の為になる世紀の大発見を見つけてみせる、みせるのに。チカの目があたしを見ているようで、どこか遠くを見据えている気がして、何も言えなくなった。
晴れていたのに神社から見た景色はさほど良くなかった。この間の夕焼けは、やはり二度とは見れないんだと思った。同じ河には二度とはいれないという様に。
階段を登るとき肉体を感じて、絵馬を見て精神を思う。病気が治りますように、長生きできますように、雨の染み込んだ五角形の木板を何枚か捲って見て諦めた。
私は指についたインクを見る。昔っからペンを扱うのが下手なのだ。アイライナーさえも蓋を外すときに指に着けてしまう。この日の光の中じゃ、それが何だか怪我をしているかの様に見えて、可愛く思えた。