や
そのLINEは、ただ一言
名前を見ても誰かわからない
ダレ…?
返事をしようか、放置しようか
でも、電話登録してないとLINEて繋がらないんだっけ?
なら、知ってる人の可能性も無いわけではない
でも、
この一言なら、何かうっかり押し間違いもあり得る…
続きが来るのを待つのが正しいだろう
そうして暫く待ってみたけど
続きが来ることはなかった
待っている間に
連絡帳を眺めなおしたら
いろんな人の顔が浮かんできた
なんだか懐かしくなって
でも、今さら連絡をするような間柄でもない
返事をしていたら、懐かしい誰かと話せたかな
今日も部活
明日も部活
コンクール前だから、とこの1ヶ月で休みは4回だけ
楽しかった学校祭だけど代休は全部1日練習だって。
いい成績を残すためには当たり前
練習だって、休憩時間に出来ていなかったところを練習しなさいって
それ、休憩っていう?
朝は6時に起きて準備
帰りは8時に帰宅
学校の勉強だってやらなきゃいけない
こんなのブラック企業と変わらない
10代でこんな生活が当たり前なら
社会に出たってブラックな会社でも頑張っちゃうよね
過労死する未来しか見えない
休んだら、先生から怒られるし
部活の皆からは裏切り者、みたいな目で見られるし
辛いのはあんただけじゃない
このくらいやって当たり前
言葉の端々からそんな気持ちが見える
あーあ、なんでこの部活を選んじゃったんだろ
楽しくない訳じゃない
嬉しいこともたくさんある
でも
この生活が当たり前とは言いたくない
あの日、好きな人の隣に寝転んで、流れてくる星を見つけては「見た!」「見えなかった!」と報告し合った。
周りにもたくさん人はいたのに、2人きりでそこにいるかのように、その人の声だけが聞こえていた。
少し大人になって
雨が降るように星が降ったあの日は
遠く離れた場所にいた恋人と電話しながら空を見上げた。
「こんな星空、一生に一度しか見れないかもしれない」
電話越しの声がはしゃいでいるのがわかって、同じように声をあげた
そして今
あなたはどこで、この星空を見上げているのかな
電車に乗るときはいつも、海側の席を探した
うっそうとした山を見ているより
開けた海を見ている方が何倍も面白い
天気がよければ海を挟んだ山の岩肌まで見えたし
海でイルカが跳ぶのを見れたときは、友達と大騒ぎした
雨で海が荒れていて、大波が電車にも届くんじゃないかと不安になることもあったし
夜の海、ガラスには光が反射して何も見えない暗闇に嫌なこと全部溶けたらいいのにと呟いたこともあった
いつもの景色はいつも少しずつ違っていて
見ている自分も少しずつ変わっているのかな
赤い糸は信用できない
今までつきあった人たち
きっとこの人と…と思っていたのに
誰も長続きしなかった
結婚した彼だって
浮気されるなんてこれっぽっちも考えてなくて
誓いも指輪は何の役にも立たない
そう気付いてしまったらもう
赤い糸なんてものは存在しないんだと
それでも
もしかしたら
死ぬときに思い出す人たち
可愛い子どもたちに
残ってくれる想いが
赤い糸なのかもしれない