『おはよう』
『ちょっと聞いてくれよ』
『今日も一緒に居てくれて
ありがとう』
『おやすみ』
君が居なくなってから
書き始めた僕の日記帳
一方通行だけど
何故か君と話している
そんな気がする日記帳
これから何年書けるかな
僕だって不死身じゃない
いつか君のところに行く
それまでに
書き終えた日記帳が
何冊、いや、何十冊、溜まるのだろうか。
君を思いて
毎日綴る
楽しいこと、
理不尽に怒った事、
君の居ない日々にくじけそうなこと。
全部、ぜんぶ
日記帳にしたためて。
#私の日記帳
いつも
向かい合わせだった
御飯食べる時も
他愛ない話をする時も
お菓子をシェアして食べる時も
君と。
だけど、居なくなってしまった
君は居なくなってしまった。
僕ひとり、この部屋に残された。
御飯食べるのもひとり
他愛ない話は独り言になり
お菓子はもう食べる気すら失った
だけど…、
これで良かったんだ、とも思う
これ以上、君の苦しむ姿を
君が苦しい思いを
もう見なくても
もうしなくても
いいから。
だから向かい合わせの
僕の視線の先には
もう君はいないけど
…良かったんだよ。これで。
そう、自分に言い聞かせる
夏の終わり
#向かい合わせ
何処にいけば有るのか
何処を探せば見つかるのか
君を失った
僕のこの何とも言えない
さみしくて、かなしい気持ちを
“遣る”、“瀬”は。
なかなか見つからない。
そうか。
簡単に見つかりはしないから
皆、口をそろえて言うのか…
『遣る瀬ない』、と。
#やるせない気持ち
どうして心がキズつくと
海へ行きたくなるんだろうか
寄せては返る波の音が
心のキズを
優しく癒してくれるからか
それとも
今はもう逢うことすら叶わぬ
君の声が聞こえるような
気がするからか
もしそうならば
僕は
明日も海へ
明後日も海へ
明々後日も海へ
傷ついたこの心の傷を癒しに
君に逢いに
……いくから。
僕がいつか役割を終え、
君のもとへ辿りつくまで
#海へ
いつもいつも
あれやこれやと
口うるさいのは
僕を心配する
君の愛情の裏返し
だけど
僕は気付かず反発し
言うことを聞かなかったね。
それを今、思うと
君はどれほど
イライラしただろうか。
歯がゆかっただろうか。
ねえ、君。
君の小言も説教も
僕を心配する優しい声も
なくなってしまった
今の僕の周りの世界は
なんて
わびしいの、だろう。
物足りないの、だろう。
静か、なんだろう。
君の姿がなくなってしまった
君の声も消え失せてしまった
僕の世界は
なんと。
#裏返し