#好きな本
好きな本は沢山ある。
今まで読んできた本はどれも面白かった。
世間的にハズレと言われる作品にも僕には刺さる物もあった。
本、本、本。僕の世界は本に埋め尽くされている。
記憶を辿ってもどの場面だろうが僕が本を離した瞬間は多分ない。
それぐらい日常に溶け込んでいる本たちで、好きな物はどれって聞かれても僕にとっては、とっても難しい質問だ。
きっと僕は死ぬその瞬間まで本に囲まれている。その時にやっと、あれが1番だったってなるんじゃないかな。
そんなに気になるなら最後まで僕の横に居てくれよ。そうすればきっと君の疑問の答えになる。
#あいまいな空
今日のあいまいな空模様はまるで今の私の心のよう。
今日はついてたけど、ついていない日。
朝、寝坊した。
電車には間に合った。
上司に褒められた。
部下には泣かれた。
タイムセールに間に合った。
買い物帰りに雨に降られた。
欲しかったものが届いてた。
洗濯物を外に干しっぱなしだった。
良いことと悪いことが交互にあって、今日の気分は良いような、悪いような。
天気に例えるなら、狐の嫁入り?
雨がザッと降ったと思ったら急に雨が止んで晴れてみたり。
あー、ほんと今日の気分は曖昧だ。
#あじさい
桜の樹の下には死体が埋まっている。とよく言うけどさ、それなら紫陽花の下にも埋まっていてもおかしくないよね。
ほら君の後ろの紫陽花もとても綺麗な青色をしている。
もしかしたら、その紫陽花の下には、、、。
なんてね、冗談だよ冗談。本気にしないでよ。
ははっ、それにしても君のビビり癖は治らないね昔から。
いやいや、バカになんてしてないさ。
ただ君の純真さが少し眩しいなと思ってね。
、、大丈夫、その紫陽花の下には何も埋まってなんかないよ。
(その紫陽花の下には、ね。)
#好き嫌い
君は幼い頃、そこらに咲く野花を手折っては、すき、きらい、すき。なんて花占いをよくやっていたよね。
あれを見る度に僕は、そんな事をするくらいならすぐ横にいる僕を見ろよ、なんて思ったっけ。ちゃちなプライドが邪魔をして言えなかったけど。
そんな君が今日、祝言をあげる。
君の花嫁姿は、なんとも言えないくらい眩くて
儚げで、今にも妖精に攫われてしまいそうなくらい美しくて、僕は息を飲んだ。
君の幼い頃の口癖は「あんたなんか大嫌い」だったけど、今日こそはその言葉を撤回してくれよ?
僕の愛する花嫁さん
#街
街は活気づいていてとても騒がしい。
けど僕はそんな騒がしいこの街が嫌いじゃない。むしろ好きだと言えるかな。
この街での人々の営み一つ一つがとても愛おしいんだ。
毎日どこかで赤ん坊が産まれて、人が死ぬ。
ものを売る人々と買う人々。
未来を向いて歩き始める人と、過去だけを見て立ち止まる人。
あっちでは男達が喧嘩をし、こっちでは女達が立ち話。
働く子供に遊ぶ子供。
こっちで結婚式があるかと思えば、そっちでは別れ話をする夫婦。
どれもこれも僕の愛する街の一風景。僕の身体の上のひとりひとりが紡ぐ人生という名の物語。
仕方ないな。僕はもう一眠りするとしようか。
おやすみ僕の愛する隣人たち。また何時か僕が起きた時にはまた僕に愛されて。
――これは誰も知らない竜の独り言。