お題:終わりにしよう
毎日繰り返している
何にもならない無意味なことを
何となく食べて寝て起きて
何も成せずに日が暮れる
そろそろやめてしまわないか
毎日繰り返している
何にもならないくせに
周りの目が針の様
刺されて冷や汗が止まらない
片付けは明日にしよう
毎日繰り返している
どうにかしようと思っていたが
変化がどうにも怖いから
またいつものことを
繰り返す
わかっている
何をするべきか何もかも
しかし足が動かない
そろそろ終わりにしなければ
皆んながお前を呼んでいる
お題:窓越しに見えるのは
窓越しに見えるのは
私が行きたかった世界
窓越しに見えるものは
私を狙う殺人鬼
時計の音が聞こえている
朝4時の空を椅子から見ている
空が段々明るくなっていき
おおきな目玉が私を探す
窓越しに見えるのは
私が見つめなければいけない世界
窓越しに見えるものは
異質な人の形をしたもの
鳥の鳴き声が聞こえる
ベッドから朝五時の空を見ている
曙の空が私を責めて
青白い手が手招いている
お題 :日常
通夜のバス
帰りの暗い
夜の道
何となく
揺られながら
外を見る
頬杖ついて
眺めている
筆を持つ
椿油刺す
畳上
直して言えば
暮れの陽
出てくる言葉は
魚の息だけ
涙が出てくる
何故か涙が出てくる
ただ漠然とした不安のなか
暗い迷路を俯いて
裸足で歩いているようで
何が不安かわからない
顔を伏せて唇噛んで
息を殺して泣いていた
お題:落下
日当たりの良い部屋の窓から
誰かが手を滑らせてしまって
一つの植木鉢が落ちた
思わず後退りしてしまうような高い建物から
誰かが覚悟を決めてしまって
助走をつけて飛び降りた
適当に閉めたケージから
猫が出てきてしまって
お皿を一つ棚から落とした
誰かの植木鉢が
誰かが
誰かのお皿が
地面に、床に
叩きつけられた
そして
砕けた
罅が入った
割れた
お題:未来
それは美しいものだろうか
蕾だったものは綺麗に開く
そしてだんだんと枯れていく
美しいか
それは切なく悲しいものだろうか
子犬の寝ていたベッドは
あっという間に小さくなって
やがて空っぽの汚れたベッドになるだろう
悲しいか
それは明るく先の見えるものだろうか
世界一綺麗な蝶の蛹は
羽化したらどんな翅を持って出てくるだろうか
世界一綺麗な翅だろう
明るいものだ
それは暗く先が見えないものだろうか
右か左か前か後ろかもわからないまま
先が見えない洞窟を進む
自分は今何処にいるのか
自分は今何処へ進んでいるのか
誰も答えてはくれない
しかし進むしか無い
ただぼんやりした不安があるままに