【素足のままで】
素足のままでいいじゃない。
別に汚れてないんだから。
素足のままでいいじゃない。
床の荷物は崩さないから。
素足のままでいいじゃない。
私の足跡わからないから。
素足のままがいいじゃない。
犯人だって決められないから。
事件はまだまだ続きます。
全員死ぬまで終わらない。
【見知らぬ街】
魔王を倒し、目の前が白くなり。
気が付けば、見知らぬ街にいた。
道行く人々は見たことない服装で。
仲間の姿もなく、勇者はひとりで。
望んだ結末なのかは、わからなかった。
勇者は行く宛てもなく歩くだけ。
ここは二十一世紀の日本。
勇者のいた世界は魔王消滅により。
存在自体が無かったことになった。
誰も魔法が使えず、科学が発展した世界で。
勇者はひとりで彷徨い続ける。
【Midnight Blue】
Midnight Blue。
黒板に並んだ文字を見ながら首を傾げる。
調べてみると黒に近い青色のことらしい。
「なんでnight、夜なんて入ってるんだろう?」
夜なんて暗くないのに。
幽霊のあたしにとって
夜なんて、暗くないのに。
【きっと忘れない】
「きっと忘れない」
そう君は言ってくれたけど、信じていない。
だって、絶対に、とかならわかるけど。
きっとって。
まあ、仕方がないよね。
むしろ期待させないだけ、マシかもね。
きっと、忘れないでね。
ここに、小さな神社にいた。
神様のことを。
【なぜ泣くの?と聞かれたから】
お母さんの知り合いだと言われたから。
わたしは車に乗り込んだ。
助けを求めたら命はないと言われたから。
わたしは静かにしていた。
ここにいろと言われたから。
わたしはその場に座っていた。
なぜ泣くの?と聞かれたから。
わたしは可哀想だと言ってあげた。
だって知らないから。
この街の、人喰い狼のこと。
お母さんも悪い人だよね。
食糧のために悪い人をわたしの前に出すんだもの。
さてと。
いただきます。