6/15/2025, 8:23:55 PM
【マグカップ】
「コーヒー入れてきたから、適当に取って」
そう言って私はテーブルの上にお盆ごと置いた。
オフィスにいたみんなが集まってくる。
それぞれがマグカップを取っていく。
「ミルクある?」
先輩に言われて私は慌てて給湯室に戻った。
コーヒー嫌いのあの人が口にしないのを確認して。
あとどれくらいだろう。
あの人が苦しみだすのは。
毒入りクッキーはみんなで食べて。
解毒入りのコーヒーを飲んで。
早く早く。
この世界から消えてくれ。
6/14/2025, 9:57:31 PM
【もしも君が】
もしも君がいなければ。
こんなにも苦しまなかっただろう。
もしも君がいなければ。
明日に希望を持てただろう。
もしも君がいなければ。
俺が世界を滅ぼすこともなかったのに。
6/13/2025, 8:24:57 PM
【君だけのメロディ】
これは君だけのメロディさ。
他の誰にも聞かせてことはない。
これまでも、これからも。
ふっ、そんなに赤くなっちゃって。
周りから見たら僕が恥ずかしいよ。
もちろん。
最後まで聴いてくれるよね。
逃がす気もないけど。
ってあれ、もう終わり?
案外、怪獣も弱いものだね。
僕の演奏に耐えきれないだなんて。
覚えておきなよ。
音もまた、凶器になるってことを。
……死んじゃって聞こえないか。
6/12/2025, 8:19:14 PM
【I love】
「日本語って難しいよな」
「それなー」
「I love youを月が綺麗とか訳すんだろ?」
「伝わるかってーの」
「やっぱり消してもよくね?」
「駄目だって。文化財だし」
宇宙人たちはため息を吐いた。
6/11/2025, 8:46:56 PM
【雨音に包まれて】
「 」
雨音に包まれて君の言葉が聞こえない。
君は走ってこちらに向かってきて。
赤い傘は宙に待って。
何事が振り返った僕のところに。
トラックが迫っていて。