終わり、また初まる、
物事には必ず終わりが来る。
仕事も、趣味も、人間関係も。
だって人間は永遠に生きられないから。
けれど、終わるだけじゃない。
終わり、また初まる、その繰り返し。
だから僕が君の前に現れるのもまた必然。
何度生まれ変わったって、逢いに行くよ。
「天性のストーカーってことですか?」
呆れ顔だって君なら美しいよ。
嗚呼
「嗚呼」
「父は話すことができません」
「嗚呼」
「なので僕を間に入れてください」
「嗚呼」
「父は言っています」
「嗚呼」
「息子である僕にすべてを渡すと」
言ってない、言ってない。
そんなことは言ってない。
息子は笑ってる。
俺を見て、笑ってる。
これは俺の人生だ。
お前のものじゃ……。
「僕の人生をめちゃくちゃにしたお返しだよ」
二人きりの病室で息子は笑った。
秘密の場所【ホラー注意】
あのね、あのね。
わたしの秘密の場所、
教えてあげる。
君のいちばん近くで、
考えてることもぜんぶわかって、
でも君には見つからなくて、
ふふふ、どこだろうね。
君のこと、なーんでもわかってる。
わたしのこと愛してるよね?
……あれ、愛してない?
いけない子だな。
君の脳内に埋め込んだのに。
わたしを、わたしの考えを埋め込んだのに。
愛してる愛してる愛してる。
さあ、今日も一日わたしのことだけを考えてね。
ラララ
「ラララ~」
声が聴こえる。
無邪気な子供とも、
落ち着いた女声とも、
怒りに満ちた男声とも、
例えようのない声が耳元で聴こえる。
耳を塞いでも、
大声で叫んでも、
聴こえる。
これは誰の声?
わからない。
わからないけど、
僕はその声から逃れたくて
走って走って、
気付けばビルの屋上から
誰かしら?
誰かしら?
こんな時間に。
誰かしら?
こんな場所に。
誰かしら?
誰かしら?
呼ばれてる?
呼ばれてる?
私が呼ばれてる?
会いたいのなら会ってあげる。
願いごとを叶えてあげる。
ただしあなたの命と引き換えにね。