ひのね

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10/24/2022, 12:43:45 PM

#行かないで
懶げな表情を浮かべ、裾を強く握りしめる。言葉が喉元で突っかかってしまい、先立つ吐息のみが漏れる。焦りと不安が身体中に広がり、心臓がぎゅっと締め付けられたように痛い。そんな私の態度に愛想を尽かしたのだろう、貴方は私を一瞥した後、背を向け歩き始めた。鼓動が高まりじんわりと汗がひたいを伝ってゆく。手は死人のように冷たい。
「行かないで」
その5文字を言えないまま。



















懶げ(ものうげ)…心が晴れないように見えるさま。 気分が重そうなさま。

10/23/2022, 2:16:13 PM

涼しい風が頬をすり抜けてゆく。空をゆっくりと流れていく雲はほんのり紫がかっており、間もなく黄昏時が来ることを示唆している。日が傾き、太陽が傾く様子をじっと見つめているうちに、私は何となく寂しい気持ちになった。からすの声がどこからともなく聞こえ、今日という日が終わることをしみじみと、明確に感ぜさせられた。
そんな感傷に浸っているや否や、私はふと後ろを振り返る。自分の影が遠くまで伸び先程の景色とは反対に、視界いっぱいに建物の影が広がっている。視線を上にあげると、境界線に目が止まった。空と建物とを分けるその境目が、私をなんだか不思議な気持ちにさせた。ずっと続くその景色に私は目を奪われたままだった。

9/27/2022, 2:28:24 PM

#通り雨
さんさんと照る太陽に対抗するかのように激しく雨が降ってきた。しかしその雨は温かく、全身ずぶ濡れになってもなぜか不快感を感じず、むしろ爽快感さえ感じた。
私は水滴が滴る髪をかきあげ、鼻歌を歌い始めた。 不思議と笑みが零れていた。

9/25/2022, 2:34:15 PM

#空から見える景色
しんしんと雪が降っている。私は雪を踏みしめながら涙いっぱいに泣きじゃくる。
ポツポツと雪の中を沈んでゆく雫が、嗚咽が、全て雪の中に吸収されていく。
雪が降るその空を見上げてみる。私の中に吸い込まれてゆくその結晶はいつもより形が鮮明で、とても綺麗だった。
暖かい水滴が頬を伝い、私は呆然と立ち尽くしていた。

9/24/2022, 12:10:17 PM

#形の無いもの
形の無いものって、なんでしょう。輪郭がぐにゃぐにゃしていて、目の前がぐわんと一回転するような気持ちの悪さ。しかし、ふと見てみるとぽっかりしていて何も無い。真っ白な中、ぽつんとある。
そんな不思議なものだと思います。
それは感情?いいえ、違うでしょう。
きっと貴方の部屋の隅にあると思いますよ。

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