自転車に乗ると、風に乗って君が頬擦りしてくる。
寂しい思いをさせてごめんね。すぐに買い物を済ませるから、と思いながら坂を少し急ぎ目に漕ぐ私の姿は悲しげだった。

明日は晴れるそうだ、雨続きで最近外へ出れなかったな...昨日の雨、君は怯えてなかっただろうか。
大丈夫、明日完全晴れるそうだから大好きな君に会いに行くよ

キラキラと輝く君の黒い瞳。茶色の瞳の私より綺麗な瞳だ。君の背に乗って何処までも行きたいかったな。私は暫し青い空を寂しげに見つめながら、思い出に浸っていた。

雨の匂いがする、遠くから遠雷の音が鳴り響く。
そんな外の様子を僕は嬉々として見つめていた、嵐が来そうな時、友の黒龍が来るから、異端に思われても良い、この村が消えればそれで良い。

今日は鬼灯様を讃える秋祭り。農作物などを祭壇へ収め、村中太鼓の音で鳴り響いていた。
鬼灯に見立てた提灯で人々は踊り明かし、来年の豊作を願い続けている。