お気に入りの洋服に
お気に入りのバッグ。
お気に入りの髪型に
お気に入りの髪飾り。
お気に入りの靴。
すべてがお気に入りの格好。
今日は初めてのデートなのだ。
ドキドキする。
彼は私をどこに連れて行ってくれるのだろう。
楽しみだ。
メールが届いた。
「迎えに行こうか?」
「ありがとう。
でも,自分で行くわ。」
「そっ…か。」
「ごめんね。
貴方に最初にあったときに見てもらいたいから|」
いややめておこう。
「今家出るから。」
「待ってて。
すぐつくから。」
「うん。」
「お母さん。
行ってきます。」
「いってらっしゃーい」
「気をつけてね~」
「はーい」
外はいい天気だ。
歩こう。
「ごめん。」
「待たせた?」
「いや。
全然。」
「絶対嘘。」
「も~ひどいな」
「今日はどこに行くの?」
「どこにしようか。」
「えっ?
決めてなかったの?」
「うん。」
「えっ?なんで?」
「君と居れればどこでもいいから。」
「///。」
「かわいい。」
「///。」
「赤くなってるよ。」
「熱ある?」
「ちょっとこっち来て。」
「ひゃっ!」
「ごめん。
痛かった?」
「ううん大丈夫。」
「良かった。」
「ほら,
こっち。」
「んっ」
「こっち見て」
「はい///。」
彼は私の前髪を上げた。
「んー
熱あるんじゃない?」
「えっ?
嘘!」
「おでこ熱いよ。」
「確かに。
ちょっとクラクラする。」
「あっ
ちょっ。
まっ」
目を開けると見たことのない部屋だった。
「あれ?」
ここどこ?
「おはよ」
「えっ!?」
「ごめん。
ここ…俺んち」
「えっ?誰もいないの?」
「うん。
あっ
それより,体調大丈夫?」
「うん。」
「本当?」
「ごめん。
嘘。
ちょっと気持ち悪くて。」
「だったら,これ飲んで。」
「あと,そっち行っていい?」
「うん。」
「おでこ。」
「ん。」
「まだ
熱いな。」
「でも,少しは良くなった?」
「うん。」
「これ飲んで。」
「これ?」
「そ」
「いや。」
「えっ?」
「やっぱこうがいいか。」
そう言って彼は私の手にあった水の入ったコップと,
薬を取って
口に入れた。
「えっ?
何してるの?」
「ほら,口頂戴。」
「こう?」
「うん。」
「「んっ。」」
「ほら飲んで。」
「ん」
「はぁ
あたまクラクラしゅりゅ。」
「ほら,
お姫様。
寝ていてください。」
そういった彼の手は,私を持ち上げる。
「えっ。
ちょっ!」
「おひめさま。」
「「んっ」」
「わいいですね。」
「はぁはぁんっ」
「おはようございます。
お姫様。」
「ちょっと。
それやめてよー」
「はーい。」
「ねぇ。」
「何?」
「そういえばさ。
私の服…」
「あー」
「ごめん。
脱がせた。」
「あれ?
さっきまで着てたのに」
「昨日。
寝たから。
その時に。」
「えっ?
昨日?」
「うん。」
「それより,
寒いでしょ。
入ってて。」
「ほら。
震えてる。」
そう言って彼は私の身体に手を伸ばす。
と思ったら。
「ぎゅー」
「えっ?」
「こうしたらちょっとは寒くないでしょ。」
「うん。」
「ねぇ
これ何?」
「あっ///」
が
「えっ?」
「んっ//
やっ//」
「あっ!
ごめん。」
「えっ?」
「何どうしたの?」
彼は私を軽々と押し倒す。
「今日はお気に入りのシーツにしておいてよかった な。」
“誰よりも君を愛す"
こんな言葉嘘に決まっている。
それでも,この言葉にドキドキする自分がいる。
恋したことはあるが,愛したことはない。
愛するとはどんなことだろう。
今まで放っておいていたことに興味を持った。
〇〇に聞いてみよう。
わたしの携帯ひ着信が来た。
あかりからだ。
「はーい
どしたの?」
「あの…さ。」
「なになに?」
「愛するとはどんなことですか?」
「えっ?
何急に。」
「ごめ…」
「愛する…ねぇ
私は自分が愛したくなったのなら,
それは愛するということだと思ってるよ。」
「ありがとう。
教えてくれて。」
あかりが恋愛に興味を持つとは思わなかったな。
まぁ私もか。
自分が愛したくなったのなら,それは愛するということ
…か。
かれんはすごいな。
なんでも知ってるんだもん。
愛したくなる相手って居るのかな。
ドキドキが嘘になるのはやっぱり嫌だな。
手紙が届いた。
「お元気ですか?
未来で何をしていると思いますか?
色々楽しく生活していますよ。
10年後,貴方は…
いや,言わないほうがいいか。
想像におまかせします。」
なんだろう。
封筒には
「10年後の貴方より」
と書いてあった。
本当に10年後の自分からなのだろうか?
考えても10年立たないとわからないか。
10年頑張って生きるか。
「バレンタイン」
どんな思い出があるだろう。
私は,甘酸っぱい思い出など無かったな。
友チョコすら貰ったことがない。
あげたことがないからだろうか。
仕方がないだろう。
恋心?
というものがわからないのだから。
いつもとあまり変わらない日常。
周りが
「チョコ貰った?」
「貰ってない」
と騒いでいるときも,
私は一人で本を読んでいる。
この対応がだめなのだろうか。
友達を作ればよいのだろうか。
誰かにあげてみようか。
「ねぇねぇ。」
「ん?」
「友達にならない?」
えっ?
「まじで!?」
「い…いの?」
「うん。」
「やったー!」
「久しぶりの友達だ!」
旅路に果てはあるのだろうか。
果て…。
果てとはなんだろう。