John Doe(短編小説)

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1/4/2024, 1:43:46 PM

ペイン・メディケーション


僕らは罪人で狂人。
癒えない傷を負っている。
顔のない人間の街で生活している。
氷のビルの谷間を走る安っぽい車。
心は麻袋の中で干からびた。
ナイフでつけた傷口から滴るのは汚水。
僕らはくたばるまでこの地獄を歩き続けるんだ。
金儲けしたところで、何も満たされない。
世界を呪えばいい。
コンクリートの上で火だるまになればいい。
ここは地獄でしかないのだから。
痛み止めはただのその場しのぎに他ならない。
怒り。
殺意。
静寂。
愚者。
崩壊。
立ち上がってみろ。
すぐに倒れてしまうのがオチさ。
ピストルに弾を込めろ。
奴らを追放しろ。
ここから飛び降りてしまえ。
耳をふさげ。
目を閉じろ。
息を止めて、暗黒の海に沈んでしまえばいい。
地球ごと。
この地獄ごと。
僕らはどうせ幸せになんかなれっこないんだ。

1/1/2024, 2:51:23 PM

エナジー


水の中にいる
私は日の光を反射した水の中にいる
ぼんやりと世界が見える
青い世界には無数の魚たちが泳いでいる
呼吸を止める必要はない
水の中にあるのは私の意識なのだから
お願い
私を底へと連れて行って
活力が溢れているの
お願いよ
私はマーメイドじゃない
だけど泳ぎたくて飛び込んだの
水の中は温かい
そして懐かしい匂いがする
私は肉体から飛び出して泳ぎ続ける
平和な水の世界を旅する
活力が溢れているの
活力だけが水流のように押し寄せてくるのよ
時を止めて
そして委ねて

12/30/2023, 11:32:55 AM

ラストスパート


来年こそ、人生の最期にしようと思う。
もう充分生きた。
今、死神が俺の前に現れても絶望しない。
むしろ、子供みたいにはしゃぐだろう。
家族には悪いが、僕はもう生きていたくない。

いろんな人と出会った。
いろんな美味しいものを食べた。
いろんな世界を見た。
叶わぬ恋もした。
ひどいこともした。
たまに親切になったりもした。

俺は今、死に憧れさえ抱いている。
死はきっと温かくて恍惚。
生まれる前のあののどかな世界に還るだけ。
俺の21グラムの魂は約束の場所へと行くだろう。
幽霊になったとしても、構わない。

一つだけ、未練があるとしたら。
俺は女の子になりたかった。

12/30/2023, 5:11:23 AM

無題


『死にたいくらいなら、死ぬ気でやればなんとかなる』
なんてバカなことを平気で言う人間がいる。
死にたいのにやる気なんかでるもんか。

『自殺は生きたくても生きれなかった人への冒涜だ』
なんてバカなことを平気で言う人間がいる。
世の中には死にたくても死ねない人がいるのに。

『死ぬな、生きろ』
笑わせるな。
生きたい人に『死ね』と言っているのと同義であることを自覚してないのか?

『死にたいなら死ね、さっさとやれ。できないんだろ? だったら黙って大人しく生きてろ』
畜生。
畜生。
畜生。

12/28/2023, 11:39:23 AM

ハウ・キャン・アイ・ビー・シュアー?


女の子たちは、いつも自由だった。
なぜなら、背中に翼が生えていたから。
彼女らは、何も恐れるものがなかった。
『自分たちは永遠に子供だ』
誰もがそう信じて疑わなかった。
大人の女は汚れている。
汚らわしい、大人になんてなりたくない。
大人の背中には翼がないもの。
銃撃も、爆撃も、国境も、民族もない。
女の子は、いつだって魔法の力を持っている。
巨大な黒い雲が世界を覆っても大丈夫。
彼女らは雲の上の世界で茶会をしているから。
『私たちは空から来たんだよ』
だけど、女の子はお母さんが大好き。
大人の女でも、お母さんだけは特別。
でも女の子の国にお母さんは入れない。
強暴な蛇が大人を食べてしまうから。

どうして私はそう思えるんだろう?
ここには、目を覆いたくなるような重なり合う死、死、死、死、死。

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