極彩色に囲まれていても、パステルカラーに囲まれていても、心がなければ無色の世界。

　桜の木に願掛けをしてはいけないよ。
　桜散る。
　願いも桜のように散ってしまうから。

　ここではない、どこかで、かつて友達だった人が暮らしている。
　その生活が、幸多かれと、遠い空の下から思う。

　今はなき祖父や祖母へ。
　届かぬ想いは心の中で澱となり、時々、私を苦しめる。
　そういう時は深く深呼吸して、澱を解きほぐすようにしている。
　そして、今生きている人へ感謝を伝えるようにしている。
　届かぬ想いは、仏壇に唱えてみても、墓前に唱えてみても、結局届かないままだから。
　後悔も懺悔も、感謝も。届かない以上は、一生背負って生きていくしかない。

　神様へ、お願いするには今恵まれすぎている。
　けれども今は砂を噛むような毎日なんだ。でも、変化を望むのはとても怖い。
　神様へ。
　どうか今の状態が続きますように。
　少なくとも予想される期日のその時までは。